主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
我々は、関節リウマチ(RA)患者の滑膜組織の濾胞樹状細胞など免疫担当細胞中にヒトパルボウイルスB19(B19)が存在することを認め、またin vitroで、単球系細胞株U937 にB19が感染することを明らかにしてきた。本研究は、in vitro で、B19とヒト単球由来樹状細胞 (MDDC) の関係を検討した。 方法は、1.健常人由来MDDC培養液中にB19含有血清添加したものとしないものを用意し、MDDCの細胞表面マーカーの発現をFACSにて比較した。また、上清中のIL-12濃度をELISAにて比較した。 2.MDDC培養液中にB19含有血清添加したものとしないものを用意し、MDDCとautoもしくはalloのCD4T細胞のリンパ球混合試験(MLR)を行った。 3.共焦点顕微鏡で、蛍光標識したB19の細胞内分布を観察した。 結果は、1.MDDCにB19含有血清添加したものにおいて、CD83の発現が低下した。LPS刺激下MDDCにB19含有血清添加すると、IL-12の産生が上昇した。 2.LPS刺激下MDDC培養液中にB19含有血清添加すると、MLRが亢進した。 3.蛍光標識したB19は、MDDCのearly endosome markerとmergeした。 上記の結果は、in vitroでB19が樹状細胞の成熟、抗原提示などの機能に影響する事を明らかにし、RA患者の滑膜組織中樹状細胞におけるB19の役割を示唆する。