日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W2-5
会議情報

ワークショップ2 自己抗原・自己抗体‐診断・治療への展開‐
全身性エリテマトーデスおよび抗リン脂質抗体症候群におけるTYK2とIRF-5の遺伝子多型の検討
*中川 久子堀田 哲也吉田 修也片岡 浩保田 晋助渥美 達也小池 隆夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

背景:インターフェロン(IFN)関連遺伝子のうち、tyrosine kinase 2 (TYK2)とinterferon regulatory factor 5 (IRF-5)の一塩基多型(SNPs)が欧米人集団においてSLEと強く関連することが報告された。 目的:日本人SLEおよび抗リン脂質抗体症候群(APS)患者におけるTYK2およびIRF-5のSNP解析を行い、疾患との関連を検討する。 方法:健常人212人、SLE患者251名(うち42名がAPS合併)、42名の原発性APS患者末梢血からゲノムDNAを抽出した。TYK2のexon 8のSNP(rs2304256)ならびにIRF5のintron 1のSNP (rs2004640, G/T)の判定にはTaqMan genotyping assayを用いた。 結果:健常人におけるTYK2のSNP(rs2304256)のPhe/Phe (A/A)、Phe/Val (A/C)、Val/Val (C/C)の頻度はそれぞれ13.2%、47.6%、39.2%であり、Pheアリル(Aアリル)頻度は37.0%であった。TYK2においては健常人群とSLE群およびAPS群の間に有意な差は認められなかった。IRF-5のSNP (rs2004640)の頻度は、健常人群においてG/G、G/T、TTはそれぞれ45.3%、40.6%、14.2%であり、Tアリルの頻度は34.4%であった。SLE群、APS群におけるTアリルの頻度はそれぞれ41.4%と48.0%であり、両群とも健常人コントロールと比較し有意にTアリルの頻度が高かった(p=0.039とp=0.003)。 結論:日本人集団においてはTYK2のSNPは欧米人と異なりSLEとの関連が認められなかったが、IRF-5に関しては欧米人と同様にSLEとの関連が認められた。SLEの発症に及ぼす遺伝子多型の影響は人種によって異なる可能性が示唆された。さらにIRF-5のSNPはSLEのみならずAPSとの関連があることがはじめて明らかとなった。

著者関連情報
© 2007 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top