主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
水酸化アルミニウム(Alum)はTh2をvivoで誘導するが、その機序は不明である。マウス骨髄細胞由来樹状細胞(DC)をAlumで刺激して培養上清中のサイトカインを測定したところ、Caspase-1依存性にIL-1β, IL-18などの分泌がみられた。次に、卵白アルブミン(OVA)単独、またはOVA/Alumと共に培養することでパルスしてOVA-DCとOVA/Alum-DCを得た。これらをマウスのfootpadに皮下投与して免疫した。OVAを皮下投与するとOVA/Alum-DCで著明なOVA特異的IgEの上昇がみられたがOVA-DCでは軽度であった。OVAの吸入暴露において、OVA/Alum-DCでは、メサコリンに対する気道過敏性の上昇、気管支肺胞洗浄液中の好酸球の増加、肺病理標本での炎症細胞浸潤がみられた。このようにAlumと抗原でパルスしたDCを皮下投与することでin vivoでTh2を誘導できたが、同様の実験をCaspase-1 KOマウス由来のDCを用いて行ってもTh2を誘導することができた。このことから、Caspase-1で活性化されるサイトカインの補助無しにTh2が誘導されることが明らかとなった。