日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W3-2
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ワークショップ3 T細胞サブセット(Th1, Th2, Th17, NKT)と炎症
活性化FoxP3陽性Treg細胞の動態および免疫反応抑制の機序について
*李 小康北沢 祐介東 治人猪阪 善隆高原 史郎
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抄録

[目的]我々は、SuperagonistCD28抗体を用いたin vivoでの優位的にTregを増やし、ラット心移植後グラフトの生着延長効果について報告してきた。今回はラットのGvHDモデルを加えて、活性化Foxp3陽性Tregの動態をターゲットとし、当該抗体の免疫抑制機序について検討した。
[方法と結果] SuperagonistCD28抗体を投与3日後の6週齢LewisラットおよびNaïveラットの脾臓・リンパ節からT細胞を精製分離し、F1(Lewis x DA)ラットにそれぞれ移植した。抗体投与ラット由来のリンパ球による宿主の局所・全身のGvH反応が顕著に抑制された。宿主ラット末梢血中のFoxP3陽性Treg細胞を経時的に測定したところ、その割合が高水準に維持されことが明らかになった。また、心移植後5日目のグラフトの組織学検討を行い、抗体治療後浸潤リンパ球のFoxP3陽性率が高かった。さらに移植後ラット末梢血中のFoxP3陽性Treg細胞の割合も顕著に増加していた。
[考察と結語] SuperagonistCD28抗体よりin vivo で優位的に増殖した細胞がGvH反応に対して抑制効果は末梢血中FoxP3陽性Treg細胞の高水準維持されたことによることを示唆した。また、当該抗体の投与によるグラフト生着延長効果は、末梢血中のみならず、グラフト中浸潤細胞のFoxP陽性Treg細胞による免疫抑制が関与していることが示唆された。今後、移植領域においてこの抗体の新しい免疫抑制剤として期待されたい。

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© 2007 日本臨床免疫学会
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