全身性エリテマトーデス(SLE)を代表とする全身性自己免疫病、および関節リウマチ(RA)や多発性硬化症(MS)を代表とする臓器特異的自己免疫病から成る免疫難病の病因として、Th1, Th2やTh17などのTh細胞の分化異常が考えられている。また、これらTh細胞の分化は、IFN-γ, IL-12, IL-6およびIL-4などのサイトカイにより厳格に制御されている。事実, TNF-αやIL-6Rなどのサイトカインおよびその受容体に対する中和抗体を用いた抗体医薬品は臨床実地において、RAなどの免疫難病に対して非常に有効である事が知られている。しかしながら、抗体医薬品は主にサイトカインの活性を中和するため、効果的な治療薬である反面、正常組織への悪影響や、体液中や細胞表面に存在するタンパク質しか標的にできず、その特異性に問題点がある。そのために、サイトカインシグナル伝達阻害因子(SOCS)を用いたより特異的な治療法の開発が望まれる。今回、RAおよびMSに焦点を当て、その疾患モデルマウスであるコラーゲン誘導性関節炎(CIA)および実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)におけるTh17の役割とTh17分化に対するIL-6のvivoでの役割について論じ、そしてIL-6シグナル伝達を阻害するSOCS-1, SOCS-3のRAやMSなどの免疫難病への応用について論じたいと思う。