日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第36回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 1-09
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TGFβ処理ヒトRPE培養上清により誘導されたCD4陽性抑制T細胞の抑制能
*堀江 真太郎杉田 直二神 百合山田 由季子望月 學
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抄録
【目的】眼色素上皮(PE)には強い免疫抑制機能があり、マウスではPE細胞がT細胞を抑制T細胞へと誘導する事が報告されている。本研究ではヒトのPE細胞がT細胞をin vitroにて抑制T細胞へ誘導することが可能であるか検討を行った。 【方法】ヒトのRPEとしてARPE-19細胞株を用いた。そのRPEをヒトリコンビナントTGFβで前処理して培養上清中の抑制性サイトカインの産生を測定した。またそのRPE培養上清によりCD4陽性T細胞を培養し、抑制機能を獲得したかを細胞増殖抑制能や抑制性サイトカインの産生能で検討した。 【結果】TGFβ処理することによりヒトRPEはTGFβ、トロンボスポンジン1、プロスタグランジンE2などの抑制性サイトカインの産生が促進された。このRPE培養上清で培養したCD4陽性T細胞は、標的細胞(T細胞、B細胞、単球などの細胞株、ぶどう膜炎眼局所浸潤細胞から樹立したT細胞クローン)の細胞増殖を抑制した。また、このRPE培養上清により誘導されたCD4陽性抑制T細胞は、CD25陽性Foxp3陽性であり、活性化型TGFβを産生していた。抗TGFβ抗体やTGFβsiRNAは、この抑制T細胞の抑制能を有意に減弱させた。 【結論】ヒトRPE培養上清を用いて、抑制T細胞をin vitroで誘導することができた。この抑制T細胞は眼炎症を制御し、臨床における細胞治療に応用できる可能性がある。
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© 2008 日本臨床免疫学会
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