日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第37回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W2-5
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ワークショップ2 自己抗体研究の新たな展開
抗CADM-140抗体陽性皮膚筋炎の臨床的意義
*中嶋 蘭井村 嘉孝湯川 尚一郎野島 崇樹川端 大介大村 浩一郎臼井 崇藤井 隆夫大川 克也三森 経世
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抄録
皮膚筋炎 (DM) の典型的な皮疹を呈するが筋症状を認めないclinically amyopathic dermatomyositis (C-ADM)に特異的な自己抗体として近年慶大佐藤らが抗CADM-140抗体を報告した。我々は重篤な間質性肺炎を併発した多発性筋炎・皮膚筋炎症例における自己抗体を探究する中で、135kD蛋白を認識する自己抗体を認め、それが抗CADM-140抗体と同一であることを確認した。そこで当科を受診した膠原病とその疑い患者192例および健常人21例の血清を対象とし、35Sメチオニン標識HeLa細胞を抗原に用いた免疫沈降法を施行したところ、抗CADM-140抗体は13例で陽性であり、うち11例がCADM、2例がDMであった 。同抗体陽性13例中12例が間質性肺炎を合併しており、7例が急速進行型を呈し、うち6例が呼吸不全で死亡した。抗CADM-140抗体の対応抗原を探るため、患者IgGを結合させたアフィニティクロマトグラフィーを用いて抗原を精製し、peptide mass fingerprintingにより抗原がIFIH1 (interferon-induced helicase C domain-containing protein 1) /MDA5 であることを見出した。2008年ACRで佐藤らは我々と異なる方法 (SELEX法) により同一の蛋白を抗CADM-140抗体の対応抗原として発表しており、我々の成績と一致する。同抗体陽性DMにおける特徴的な病態を示唆する所見として、有意に高フェリチン血症が存在し(同抗体陰性DMに比して)、血清フェリチン値は病勢の悪化と共に上昇した。また、初診時における血清IL-6と IL-18も同抗体陽性例では陰性例に比し有意に高値を示した。抗CADM-140抗体陽性DMの病態にマクロファージ活性化が関与するのではないかと考えられた。
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© 2009 日本臨床免疫学会
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