日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-35
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一般演題(ポスターワークショップ)
臍帯血移植を行ったX連鎖重症複合免疫不全4例の臨床経過
*中澤 裕美子河合 利尚澤 新一郎稲木 誠渡辺 信之横山 みどり小崎 里華清谷 知賀子小野寺 雅史
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抄録

<目的> 共通ガンマ鎖(γc)異常により発症するX連鎖重症複合免疫不全(X-SCID)はT細胞、NK細胞の欠失とB細胞の機能不全を特徴とし、造血幹細胞移植後のドナーB細胞の生着率(キメリズム)評価は患者follow upにとって重要となる。今回変異型γcを発現する2組のX-SCID4症例に関し、移植後の臨床経過と免疫学的回復を検討した。
<方法> 対象は2組のX-SCIDの兄弟例で、その遺伝子変異はQ322XとQ61Pである。全例でFlu+L-PAMの前処置によるHLA6座一致臍帯血移植を行った。
<結果> 現在、移植中の1例を除く3例で、移植後にリンパ球数、免疫グロブリン値、T細胞幼弱化反応、NK細胞活性は正常化した。ただ、ドナー由来B細胞の割合が35%、10%未満と低値であり、特にキメリズムが10%未満であった1例では、血清γグロブリン値が正常域にあるのも関わらず移植後も重篤な感染症を繰り返している。
<考察> 血清γグロブリン値が正常範囲であってもB細胞のキメリズムによっては特異抗体が作られず、頻回なる感染症に罹患する危険性が示唆された。γcを発現する症例では、積極的にshort tandem repeat (STR)-PCR法等によりB細胞のキメリズムを評価する必要がある。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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