日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-36
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一般演題(ポスターワークショップ)
NLRファミリー関連疾患が疑われる2症例の検討
*泉川 美晴洲崎 賢太郎壇上 淳一中島 崇作島田 裕美竹内 洋平高野 耕志郎亀田 智広土橋 浩章松永 卓也
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抄録

近年、自己抗体や自己反応性のT細胞を認めず、臨床的には周期性の発熱を認める疾患群としてautoinflammatory syndrome自己炎症症候群(AIS)という概念が提唱されている。これらの疾患の原因遺伝子の発見により、自然免疫における細胞質NLR(NOD-like receptor)ファミリー受容体の病態が明らかにされつつある。今回、当施設で経験した2症例について、NLRの異常が関与している可能性について、文献的考察などをふまえて検討したので報告する。  【症例1】28歳女性。出生時から、冬季になると顔や四肢に発疹が出現していた。その後も寒冷暴露時に発熱・発疹が出現し、16歳頃からは関節炎が加わるようになり、精査を受けたが確定診断には至らず、ステロイド内服で治療を受けている。その後も寒冷発作のエピソードを繰り返しており、AISの一疾患であるfamilial cold autoinflammatory syndrome家族性寒冷蕁麻疹(FCAS)を疑い、遺伝子解析などについて検討した。  【症例2】23歳女性。元来健康であったが、妊娠中のインフルエンザ感染を契機に血球貪食症候群を呈した。骨髄穿刺および末梢血にて、体細胞型染色体異常46, XX, t(3;17) (q21;p13)を認めた。ステロイドパルス2クール施行にてHPSは改善し、妊娠40週で正常分娩にて女児を出産した。しかし、その後も再発する発熱を認めている。本症例で染色体異常が認められた17p13は、発熱に関連した遺伝子としてはNLR1をコードしている。HPSを発症し、その後周期性発熱を認める本症例の病態に、染色体異常が関連している可能性やNLRの関与の有無について考察した。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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