日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: LS-2
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ランチタイム教育講演
消化管における免疫抑制のメカニズム
*吉村 昭彦
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抄録
消化管においては大量の腸内細菌が存在するために細菌の侵入に対しては早急に炎症を惹起して菌を排除しなければならない。一方で食物に対しては経口免疫寛容現象と言われるように免疫は抑制されている。消化管免疫ではこのような相対する反応を制御しなければならない。このバランスにはヘルパーT細胞が重要な役割を果たし、消化管内には炎症を起こすエフェクター細胞であるTh1やTh17、および抗炎症に働く抑制性T細胞Tregが大量に存在する。Tregは主にIL-10とTGFβを介して抗炎症作用を引き起こす。IL-10はSTAT3を活性化し主にマクロファージや樹状細胞等の自然免疫系の細胞の活性化を抑制し、TNFαなどの炎症性サイトカインの分泌や副刺激分子の発現を抑制する。一方TGFβはSmad転写因子を活性化し主にヘルパーT細胞に作用してそのTh1,Th2への分化を抑制する。しかしTregが存在しないRag欠損マウスでも消化管における自然免疫系の細胞の活性は抑制されており、Tergに依存しない免疫抑制機構の存在が示唆される。我々は腸上皮細胞や繊維芽細胞の培養上清、あるいは腸上皮抽出液中にマクロファージや樹状細胞からの炎症性サイトカイン産生を強力に抑制する物質が存在することをつきとめた。精製の結果この分子はプロスタグランジンE2(PGE2)であることがわかった。Rag欠損マウスはPGE2の産生を抑制するCOX阻害剤(NSAID)処理によって重篤な腸炎を発症した。PGE2がTregのシステムと独立して個体でも消化管の免疫抑制に重要な役割を果たすことを明らかにした。参考文献 (1) Ichiyama et al. Immunity May 2011 in press (2) Chinen et al. Nature Commun 2,E190, 2011
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© 2011 日本臨床免疫学会
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