日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W1-2
会議情報

ワークショップ1 新しい標的分子と疾患制御
Sykの基礎と臨床
*定 清直
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
Sykは、血液・免疫系の組織に発現する非受容体型チロシンキナーゼで、マスト細胞のヒスタミン放出やマクロファージのファゴサイトーシス、破骨細胞の活性化、さらにB細胞の分化にエッセンシャルな役割を担っている。また前骨髄球性白血病や自己免疫疾患(特発性血小板減少性紫斑病)の病態、真菌やウイルス感染への関与も報告されている。Sykには10カ所の自己リン酸化部位があり、それぞれの生理的役割が既に明らかにされている。Syk阻害薬開発の試みは1994年に報告されたピスエタノールを皮切りに、これまで様々な化合物が報告されたがいずれも臨床治験には到達しなかった。近年、新しいSyk阻害剤が開発され、アレルギー性鼻炎や関節リウマチ治療への有効性が脚光を浴びている。細胞レベルでの阻害、具体的には細胞内基質タンパク質のチロシンリン酸化の阻害を指標とするアプローチにより開発されたこれらSyk阻害剤は、臨床での応用が目前に迫っている。Sykは様々な生体内の現象を司る非常に重要な分子であるため、関連する疾患の分子標的治療薬開発において最も核心的な分子であるといえる。一方、Sykはその幅広い機能を持つがために、阻害薬投与による血小板凝集阻害や免疫不全による易感染性が懸念され、副作用への十分な配慮が必要であるといえる。
著者関連情報
© 2011 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top