日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W1-1
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ワークショップ1 新しい標的分子と疾患制御
JAK阻害薬による関節リウマチ治療とその作用機序
*山岡 邦宏前島 圭佑久保 智史園本 格士朗齋藤 和義田中 良哉
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抄録

関節リウマチ(RA)の治療では、サイトカインにより活性化される細胞内チロシンキナーゼの一つであるJanus kinase (JAK)を阻害標的とした、tofacitinibが臨床試験において早期より高い有効性を示している。しかし、その作用機序は不詳である。今回、当科での治験参加症例では、投与開始後2週目にて疾患活動性、MMP-3とCRPは容量依存性に低下を認め、12週目まで改善傾向を維持していた。特に、末梢血CD4+T細胞よりのIL-17産生は、治療効果が乏しかった一例を除き、すべての症例で低下していた。また、RA患者滑膜由来CD4+T細胞のIL-17とIFN-g産生は、tofacitinib添加により細胞死を誘導することなく抑制されたが、滑膜線維芽細胞と単球に対する直接的効果は見られなかった。更に、RA患者滑膜と軟骨を免疫不全マウスに移植したex vivoモデルマウスでは、tofacitinib投与により血清中のヒトIL-6とIL-8の低下がみられ、滑膜の軟骨浸潤も抑制された。これらの結果より、tofacitinibはJAKが重要な役割を果たすCD4+T細胞に直接作用することによりIL-17産生を抑制し、更に間接的に滑膜からのIL-6とIL-8産生を制御することで滑膜の軟骨への浸潤を抑制すると考えられた。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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