日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W1-3
会議情報

ワークショップ1 新しい標的分子と疾患制御
IL-33と疾患
*善本 知広
著者情報
キーワード: IL-33, 花粉症, 好塩基球
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

IL-33は2005年にIL-1βやIL-18と同様、IL-1 ファミリーに属する新規サイトカインとしてクローニングされた。その受容体は長い間そのリガンドが不明であったST2である。IL-1β/IL-18が細胞質内で前駆体の形で産生され、caspase-1によって活性化型となって産生されるのに対し、IL-33は細胞核内に存在し、細胞壊死あるいは組織傷害によって生理活性を有する分子量33kDaの全長型で産生される。ST2はTh2細胞とアレルギー担当細胞(好塩基球、マスト細胞、好酸球)上に発現することから、アレルギー性炎症の発症にIL-33は重要な役割を演じている。実際我々は、日本人のスギ特異的アレルギー性鼻炎患者では血清IL-33値が正常コントロールに比較して高く、一塩基多型解析からIL-33遺伝子領域に花粉症と相関のある遺伝子多型が存在することを明らかにした。その他、この1~2年の研究でIL-33は様々な疾患(関節リウマチ、炎症性腸疾患、動脈硬化、虚血性心疾患、神経疾患、敗血症など)の発症に関与することも報告されている。本ワークッショップでは、IL-33の構造と産生機序、IL-33の標的細胞とその生理作用、そしてIL-33が関与する疾患を紹介する。最後に、最近我々が明らかにした花粉症の発症機序におけるIL-33の役割と、IL-33を標的とした新規アレルギー治療法を紹介したい。

著者関連情報
© 2011 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top