抄録
世界の年間総死亡者数は5,800万人、死因内訳は循環器疾患:1,750万人、感染症:1,400万人、悪性新生物:760万人であり、現在でも感染症は甚大な健康被害を提供している。感染症死亡(1,400万人)の内訳では、呼吸器感染症(肺炎):396万人、後天性免疫不全症候群(結核合併を含む):200万人、下痢性疾患:180万人、結核:176万人、マラリア:127万人である。感染病原体として、プリオン、ウイルス、細菌や原虫・寄生虫があり、宿主は自然免疫・獲得免疫、液性・細胞性免疫を発動し、感染病原体に対抗している。感染症医療において、迅速、かつ、正確な診断は治療や予防において必要不可欠である。また、ヒトーヒト伝播および人獣共通感染症の蔓延防止、さらに、感染症法に規定されている発生動向調査にも感染症の迅速・正確な診断は極めて重要である。演者は、宿主免疫応答を利用した迅速免疫診断の橋渡し研究(influenza A/H1N1 2009や抗酸菌感染症など)について紹介し、基礎・臨床医学の双方向的橋渡し研究(Translational research)の推進が感染症の理解、制圧、そして、健康被害の減少に寄与することを期待している。本研究は厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)、文部科学省 科学研究費補助金および科学技術振興調整費により支援された。