抄録
関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患等のリウマチ性疾患の治療において、炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤によりパラダイムシフトがもたらされた。しかし、生物学的製剤にても寛解に至る症例は3割程度であり、治療効果が乏しい症例や投与経路の煩雑さや高価であることが治療導入・継続の障害となることがある。サイトカインがその生物活性を発揮する上では細胞内チロシンキナーゼの活性化が必須であるが、この分子を標的とした経口内服可能で半減期が短い、低分子化合物が最近注目されている。現在、上市に最も近い経口低分子量化合物であるtofacitinibは Janus kinase (JAK)を特異的に阻害し、RAを対象とした臨床試験では生物学的製剤に匹敵する治療効果を認めている。本邦で行われている第II相試験では、治療開始2週目の早期から効果がみられ、12週目には9割以上の症例に治療効果を認め、約4割で寛解を達成していた。当科症例の解析では、2週目より、疾患活動性、CRP、MMP3はいずれも用量依存性に低下していた。その作用機序については不明な点が多いが、我々がRA患者リンパ球を用いた検討では、投与開始早期にはリンパ球に作用し、IFN-gとIL-17産生を抑制する効果を有する結果を得ている。以上の如く、経口低分子量化合物によるJAK阻害の高い有用性が明らかとなっており、リウマチ性疾患の次世代治療薬となることが期待されている。