抄録
背景:シェーグレン症候群(以下SS)患者の末梢血B細胞では、過剰な活性化や形質細胞への過剰分化が認められている。Act1はB細胞の分化・増殖に関わるBAFF-Rと直接結合し、加えてCD40とも会合、いずれの場合も非標準的NF-κB活性化経路を抑制することが知られている。このAct1欠損マウスにおいてSS様症状を呈することが報告され、ヒトのSSの病態にも関与が示唆される。そこで、SS患者の末梢血におけるAct1mRNA発現とSSの病態生理との関連を検討した。
方法:SS患者55人(男性4人、女性51人;平均年齢52.9歳)の末梢血よりCD19陽性B細胞を分離、Act1 mRNAの発現量を半定量real-time PCRにて調べ、健常人34人と比較し、臨床所見との関連を調べた。
結果:Act1mRNAの相対的発現比の中央値(範囲)は健常群1.269(0.064~7.933)に対し、SS群0.825(0.097~7.463)で有意に低値を示した(p=0.020)。また、IgG値とAct1mRNA発現値に逆相関が認められた(p=0.041)。
考察:SS患者においてAct1によるBAFFR・CD40に対する抑制作用が低下し、自己抗体産生亢進と細胞の過剰分化をもたらすことでSSの発症につながる可能性が考えられた。Act1発現量とIgG値との間の逆相関は、これを支持する所見と考えられた。