抄録
SykはB細胞受容体 (BCR)下流で活性化され、CD40シグナルによる共刺激と共にB細胞活性化を齎すが、最近、内在性核酸によるTLR9刺激も加わり強力な活性化が誘導されることが明らかとなった。Syk阻害薬(R788)が関節リウマチを対象とした臨床試験にて高い治療効果を示しており、TLR9を介したB細胞活性化増幅シグナルへのSykの関与が考えられた。そこで、ヒト末梢血B細胞をBCR架橋、sCD40L、CpG-ODNで刺激したところ、増殖、分化、活性化マーカー(CD80、CD86)発現は、ナイーブB細胞と比較してメモリーB細胞に強力に誘導された。Syk阻害剤(BAY61-3606)は活性化マーカー発現を強力に抑制し、増殖、分化を濃度依存性に無刺激状態まで抑制した。BCR架橋は、TLR9、TRAF-6の発現を強く誘導し、CD40、TLR9との共刺激によりTRAF6発現をさらに増幅、NFκBリン酸化をも誘導し、Syk阻害剤により強力に抑制された。Sykを介したBCRシグナルは、TLR9およびTRAF-6のoptimalな発現誘導に極めて重要であり、その結果として、効率的なCD40、TLR9シグナル伝達が齎されると考えられた。Sykは自己免疫疾患のB細胞依存性の病態形成において重要な役割を担っている可能性が示唆された。