抄録
上肢の逆行性感覚神経伝導検査においては, 通常リング型表面電極を活性電極として用いるが, 近年貼付型ディスポーザブル表面電極が頻用され, 運用面でも感染防御の点においても利点が多い。健常被験者10名20手で正中神経の逆行性感覚神経伝導検査を施行し, 適切な貼布位置について検討した。活性電極として第2指にリング型表面電極を, 第2指橈側側面, 掌側正中, 尺側側面, 第3指橈側側面に貼付型ディスポーザブル表面電極を配置し比較した。容積電導の影響を検討するため, 各貼付位置による基準電極導出でも記録した。貼付型ディスポーザブル表面電極を第2指の掌側正中部に置いた場合の潜時, 振幅はリング型表面電極を使用した場合と比べ有意な違いを認めなかったが, 第2指橈側側面に貼布した場合は容積伝導の影響で振幅が低値となり, 伝導速度の上昇が見られた。以上より貼付型ディスポーザブル表面電極は第2指の掌側正中部に置くことを推奨する。