臨床神経生理学
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41 巻 , 1 号
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原著
  • 後藤 和彦, 杉 剛直, 松田 吉隆, 後藤 聡, 福田 裕樹, 後藤 純信, 山崎 貴男, 飛松 省三
    2013 年 41 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    本研究では, 刺激パターンの異なる等輝度色フリッカー刺激を与えたときのVEPの特徴を解析し, 低次視覚野における刺激パターンと色組み合わせの影響を定量的に評価した。対象は若年健常成人11名。部位OzからVEPを記録した。視覚刺激は2種類の等輝度の色組み合わせ (赤/青, 赤/緑) と2種類の刺激パターン (正弦波パターン, 矩形波パターン) を組み合わせ, 刺激頻度を4–18 Hzまで変化させた。正弦波パターンでは刺激頻度7–10 Hzで矩形波パターンより振幅上昇が顕著であった。高頻度刺激において赤/緑刺激の振幅は赤/青刺激より大きくなった。以上の結果から, 刺激パターンでの反応の差異は, 色の入れ替わりの変化を反映し, 色の組み合わせでの反応の差異は, 一次視覚野での拮抗作用や賦活される網膜錐体細胞の割合の影響が考えられた。つまり, 各刺激での反応は刺激パターンと色の組み合わせの相互作用によって決まると考えられる。
  • 田中 博昭, 林田 祐樹, 村山 伸樹, 伊賀崎 伴彦
    2013 年 41 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    一般的に, 脳内の電気生理学的活動源の挙動や特性を脳電磁図の測定信号から求めようとする際には, ある逆問題解法を用いて信号源の推定を一旦行い, 次に, 得られた推定信号源に対して時間–周波数解析や相互相関解析などを行っている。したがって, 信号源の推定精度がその後の解析結果を左右してしまうこととなる。我々の先行報告では, 目的とする信号の特性を有する信号源を選択的に推定する手法を提案し, その適用例として, 異なる周波数で互いに相関を示す複数の脳内活動源の推定を取り上げ, シミュレーションデータを用いて, 具体的な解析と推定の手順, およびその結果を示した。本報告では, 単一指タッピング時の脳電図および筋電図の実測データに対して, 我々の提案する手法により脳内信号源の推定を行い, その結果を解剖学的知見や従来手法の一つである事象関連脱同期/同期解析と照らし合わせて妥当性を評価した。
  • 數田 俊成, 武田 湖太郎, 田中 悟志, 小田柿 誠二, 大須 理英子, 大高 洋平, 近藤 国嗣, 里宇 明元
    2013 年 41 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    経頭蓋直流電気刺激 (transcranial direct current stimulation: tDCS) は頭蓋上に配置した電極から微弱な電流を与える刺激法で, 脳機能を促進あるいは抑制すると言われている。本研究は15単語の記銘・再生を繰り返すRey’s Auditory Verbal Learning Test (RAVLT) を用い, tDCSが聴覚言語性記憶に及ぼす影響について検証した。健常者12名 (21–32歳) を対象とし, RAVLTの記銘2回目からtDCSを用いて左頭頂葉下部, 後部側頭葉を刺激した (刺激強度: 2 mA) 。陽極刺激条件では10分間, 偽刺激条件では15秒間刺激を与えた。RAVLTの2回目再生数は, 陽極刺激条件が偽刺激条件より有意に多かった。健常者においてtDCS陽極刺激により聴覚言語性記憶の有意な増強が認められた。tDCSは記憶機能賦活に役立つ可能性がある。
  • 関口 兼司, 幸原 伸夫, 苅田 典生, 戸田 達史
    2013 年 41 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    上肢の逆行性感覚神経伝導検査においては, 通常リング型表面電極を活性電極として用いるが, 近年貼付型ディスポーザブル表面電極が頻用され, 運用面でも感染防御の点においても利点が多い。健常被験者10名20手で正中神経の逆行性感覚神経伝導検査を施行し, 適切な貼布位置について検討した。活性電極として第2指にリング型表面電極を, 第2指橈側側面, 掌側正中, 尺側側面, 第3指橈側側面に貼付型ディスポーザブル表面電極を配置し比較した。容積電導の影響を検討するため, 各貼付位置による基準電極導出でも記録した。貼付型ディスポーザブル表面電極を第2指の掌側正中部に置いた場合の潜時, 振幅はリング型表面電極を使用した場合と比べ有意な違いを認めなかったが, 第2指橈側側面に貼布した場合は容積伝導の影響で振幅が低値となり, 伝導速度の上昇が見られた。以上より貼付型ディスポーザブル表面電極は第2指の掌側正中部に置くことを推奨する。
総説
  • 石井 良平, 渡辺 裕貴, 青木 保典, 平田 雅之, 白石 秀明, 尾﨑 勇, 井口 義信, 露口 尚弘, 鎌田 恭輔, 亀山 茂樹, 中 ...
    2013 年 41 巻 1 号 p. 29-45
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    脳磁図は, 脳電気生理活動を直接測定できる, 高時間空間分解能を有する, 基準電極が必要無いため誤ったセンサー間の相関を生じない等優れた特性を持ち, この脳磁図を用いることにより脳電気生理活動を即時的でより精密に測定できると考えられている。また, 脳磁図測定データに対する解析手法も発展してきており, 電流源密度分布推定法, 脳部位間の相関解析, 脳磁図波形複雑性解析等が実用化されている。この脳磁図と脳磁図解析法を用いて精神科疾患の病態解明を目的に臨床研究も盛んに行われるようになってきており, 様々な研究成果が報告されている。本論文では, 2012年3月までの間に発表された文献検索に基づき主要な精神科疾患・認知症疾患に関する論文を渉猟し, 脳磁図臨床研究の動向を調べた。その結果, 統合失調症95本, 気分障害23本, 発達障害29本, てんかん精神病13本, アルツハイマー病と軽度認知機能障害を含む認知症71本の論文をリストアップし, 各疾患で代表的な論文についてその研究成果を概説した。精神科疾患・認知症に対する臨床的有用性を強調した論文も散見されたが, 米国医療政策研究局のエビデンスレベル分類で2以上の評価を得た論文は, 認知症を対象とした2編のみであった。今後は, 精神科疾患・認知症に対して, 被験者数をより多く集め, 多施設間の共同研究による, より客観的な脳磁図の臨床研究が行われていくことが期待される。
  • 鎌田 恭輔, 露口 尚弘, 中里 信和, 尾﨑 勇, 池田 英敏, 井口 義信, 平田 雅之, 亀山 茂樹, 石井 良平, 白石 秀明, 渡 ...
    2013 年 41 巻 1 号 p. 46-53
    発行日: 2013/02/01
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍の術前診断として, 腫瘍の性状, 局在に加え腫瘍近傍の脳機能マッピングが重要である。しかし, 開頭術前に脳機能局在を確認する方法は未だに十分に確立していない。現在脳磁図は脳神経外科手術に際して保険適応となっている唯一の脳機能画像方法であるが, その有用性などに関するエビデンスレベルはあまり論じられていない。今後の脳磁図診断の臨床応用の方向性を見極めるために, 現在の脳腫瘍に対する脳磁図の診断的エビデンスレベルを明らかにする。MEDLINE にて (brain tumor OR neoplasm) AND (MEG OR magnetoencephalography) を1985年から2012年7月まで検索した。その結果920件の論文が検索され, エビデンスレベル, 原著論文に基づいて56論文に絞りこみ現在までの脳腫瘍に対する脳磁図の臨床応用についてまとめた。1993年に体性感覚誘発脳磁界を用いて脳腫瘍術前診断で中心溝を同定した報告は初めての臨床応用であった。その後脳磁図は同様の目的で脳腫瘍患者に使用され続け, 多くのエビデンスレベル1の論文が報告された。また1999年より言語優位半球の同定のために脳磁図の応用が始まり, 現在までエビデンスレベルの高い6編の論文があった。しかし, その同定率が90%を超える論文は少なく, さらなる手法の工夫が必要と考えられた。さらに近年はResting state脳磁図のように課題負荷の少ない検査法の報告も認められ, 今後患者負担の少ない検査法への発展も期待できる。中心溝同定, 言語機能局在に関しては, 脳磁図は脳腫瘍術前診断として推奨グレードの高い有用な検査法である。
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