抄録
末梢性顔面神経麻痺 (PFP) における積分筋電図と誘発筋電図の予後推定能の比較を行った。PFP患者123名を対象とし, 回復が6カ月以上を予後不良群, 3カ月以内を早期回復群とした。眼輪筋において積分筋電図および誘発筋電図の測定を発症直後, 発症2週間後に行い, 患側値/健側値比を求めた。これら4種類の患側値/健側値比がいかに予後不良群, 早期回復群を識別できるかROC曲線を作成し, ROC曲線下の面積 (AUC) および, ロジスティック回帰分析を用い比較した。予後不良群, および早期回復群いずれの識別においても発症2週間後の誘発筋電図のAUCが最も高値であり (予後不良群の識別: 0.894, 早期回復群の識別: 0.931), ロジスティック回帰分析においても予後との間に有意性がみられた (p<0.01) 。しかし予後不良群の識別や発症直後における予後推定の信頼性を高めるためには今後さらなる検討が必要である。