臨床神経生理学
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特集「臨床脳波を行う技術師のために」
法的脳死判定脳波検査の実際
水野 久美子
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2014 年 42 巻 6 号 p. 399-408

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抄録
平成17年10月に臓器移植法が施行され脳死下での臓器移植が可能となり, その後, 平成22年7月に改正臓器移植法施行により本人の臓器提供の意思が不明な場合も, 家族の承諾があれば臓器提供できるようになった。脳波検査は大脳皮質活動の消失を確認するのに最も信頼性の高い検査と言われ, 法的脳死判定に必須項目で, 「脳波活動の消失 (いわゆる平坦脳波 (Electrocerebral inactivity: ECI) の確認」が必須条件となる。また必須項目ではないが法的脳死判定マニュアル (判定マニュアル) で聴性脳幹誘発反応 (ABR) を行いII波以降の消失を確認しておくことが望ましいとある。ECIは脳波計の内部雑音を超える脳由来の電位がないことで具体的に測定条件を加えると電極間距離7 cm (乳児5 cm) 以上で, 電極接触抵抗100 Ω~2 kΩの条件下で, 2 μV/mmの感度にて, 単極・双極4誘導以上のチャネル数で, 30分以上記録し, 途中に呼名や痛み刺激を行い, 3 μVを超える脳波活動が見られないこととなる。臨床検査技師は予告なく始まる法的脳死判定に向けて, 判定基準を満たしていると認められるレベルの脳波を記録できるよう日頃からの訓練が不可欠となる。
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© 2014 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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