臨床神経生理学
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特集「術中脳脊髄モニタリングの現状と問題点」
経頭蓋刺激ならびに経咽頭刺激による誘発脊髄電位と誘発筋電図による術中脊髄モニタリング
—疾患別, 高位別の主力誘発電位の選択—
山本 直也林 知美遠藤 一幸清水 敬親伊野 正剛
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2016 年 44 巻 3 号 p. 128-137

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抄録

運動誘発電位を導出できる刺激方法には経頭蓋刺激と経鼻電極を用いた経咽頭刺激がある。誘発筋電図は前者では遠位筋優位に, 後者では近位筋優位に導出される。一部異なった運動路を評価している可能性がある。両者を用いて導出条件の良好な刺激を中心に術中脊髄評価に用いている。経咽頭刺激では経頭蓋刺激の半分の刺激強度で導出可能である。術前から重度の脊髄障害を有する症例で誘発筋電図が導出できない場合でも下行性脊髄誘発電位の記録が可能であることが多い。これらの刺激を用いて脊髄から記録する下行性脊髄電位は, 筋弛緩下に導出することができ, 手術操作の妨げにならない。白質の伝導性の評価が重要な上位頸髄や胸髄のモニタリングや後角介在ニューロンが最も鋭敏な虚血性脊髄障害の評価には下行性脊髄電位が確実である。高位としては灰白質, 神経根, 馬尾の評価が重要な下位頸髄や腰髄膨大部で, 疾患としては髄内腫瘍や脊柱変形では誘発筋電図が第1選択となる。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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