2017 年 45 巻 2 号 p. 87-90
単発皮質電気刺激を用いた皮質皮質間誘発電位 (CCEP) の計測は, 脳内ネットワークの探索や脳外科手術中の白質経路のモニタリングに応用され, 多くの施設に普及しつつある。CCEPは, 刺激条件としては0.2–2 Hzの頻度でパルス幅0.2–0.5 msで単発の電気刺激を皮質に与えるが, 刺激パルスによる記録のアーチファクトを減らし, 皮質への帯電を防ぐ目的で, 極性を交互にして刺激を行う。近接・遠隔の皮質に留置した硬膜下電極から記録する皮質脳波を20∼50回加算平均してCCEPを記録する。近年, ステレオ脳波を用いたより広範な脳内ネットワークの解明や皮質下の繊維を電気刺激しながら, 皮質で記録を行う皮質下皮質間誘発電位 (SCEP) の手法も報告されており, 今後, さらなる臨床応用のためには慢性頭蓋内電極留置および術中における刺激・記録法の標準化が重要な課題となる。本稿ではCCEPの刺激・記録条件につき, 総説した。