臨床神経生理学
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原著
学童期における呼吸筋検査
—横隔膜の神経伝導検査および口腔内圧について—
大栗 聖由宮木 真里原 文子廣岡 保明本倉 徹
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2017 年 45 巻 4 号 p. 179-185

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抄録

横隔神経伝導検査および口腔内圧を用いた呼吸筋検査は, 筋萎縮性側索硬化症などの呼吸障害を伴う疾患の呼吸筋評価法だが, 本邦において小児ではあまり用いられていない。本研究では, 学童期の小児を対象として, 横隔神経伝導検査および呼吸筋検査基準値を作成し, 呼吸筋検査に影響を及ぼす因子について検討した。方法として, 横隔神経伝導検査は胸鎖乳頭筋付近の横隔神経を刺激し横隔膜から筋電位を記録し左右の平均潜時および平均振幅を測定した。呼吸筋検査は最大口腔呼気内圧および最大口腔吸気内圧を測定した。結果は, 呼吸変動により平均潜時は影響を認めなかったが, 平均振幅は呼気時と比較し吸気時において有意に振幅の上昇を認めた。また, 呼吸筋検査では, 最大口腔吸気内圧が肺活量および一秒量との間に有意な正の相関を認めた。以上より, 今回用いた電極配置および検査方法を用いれば, 小児においても呼吸筋障害の評価を行うことができると考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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