臨床神経生理学
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特集 「てんかん学と臨床神経生理学との接点―その最新知見と臨床応用―」
てんかんと意識:非けいれん性てんかん重積状態からの考察
渡邊 さつき
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2018 年 46 巻 6 号 p. 591-594

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抄録

てんかん学において「意識」は重要である。2017年に発表された国際抗てんかん連盟による新しいてんかん発作分類では, 意識を表す用語が“consciousness”から“awareness”に変更された。非けいれん性てんかん重積状態は, 患者によって様々な意識障害や認知機能障害がみられ, 幅広い臨床症状を呈する。このことから, 「意識」は様々な脳機能の集合として捉えるべきであると考える。近年EEG-fMRI研究により, Default Mode Network (DMN) と呼ばれる安静時に活動する脳領域が, てんかん性異常波が出現する際には活動が低下していることが明らかになった。DMNの各サブユニットは異なる機能的役割があることから, てんかん発作時の意識にはDMNが関与していることが示唆される。てんかん学は学際的領域であり, 神経生理学的視点を通して脳機能に迫るひとつのきっかけになるかもしれない。

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© 2018 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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