2019 年 47 巻 1 号 p. 23-33
対象は健常者10名である。運動イメージの前後で50%MVCに正確かつ素早く調節させるピンチ課題を与え, 運動の正確さと素早さを比較した。安静試行と運動イメージ試行での脊髄前角細胞の興奮性の指標は, 母指球筋からF波により評価した。なお, F波記録はそれぞれの試行中に行った。F波の結果は, 安静試行と比較した運動イメージ試行にて出現頻度が増加した。また全ての被験者は, 運動イメージ後に運動の正確さが低下したが運動の素早さが向上した者と, 低下した者とにわかれた。そして運動の素早さが向上する者ほど運動の正確さが低下する傾向を認め, 運動の正確さが著明に低下する者では, 安静試行と比較した運動イメージ試行での出現頻度変化量が4%以下または17%以上で, 振幅F/M比変化量が0.5%以上という特徴があった。以上より, 運動イメージが運動の正確さの低下を防ぐ際には, 運動イメージ時の出現頻度が4~17%ほど増加し, 振幅F/M比も0.5%未満で増加する可能性がある。