2019 年 47 巻 3 号 p. 168-173
脳波は実臨床においては, てんかんの診断やせん妄の評価に使用される。研究においては時間分解能の高さ, 侵襲性の低さ, 安価なため臨床への応用の容易さ, といった点から, 脳機能測定のツールとして以前から用いられてきた。一方脳波の分野とは別に, 最近の画像研究の進歩に伴い, 脳の構造研究で精神疾患の正常からの逸脱が検出できるようになり, 精神疾患の発現型として関心を浴びている。近年, このような脳波以外の分野の研究の発展に伴い得られた新たな知見と, 上記特徴を有する脳波測定を組み合わせることで, 脳波解析の有用性が再び脚光を浴びるようになってきている。今回我々は, 脳波定量解析が実臨床への応用が可能であるか, 自施設におけるうつ病患者の脳波データの解析結果を元に, 治療予測の可能性について考察を行い, 将来の展望を述べたい。