2020 年 48 巻 2 号 p. 70-73
ドプラ法超音波での神経内血流 (InBF) は, 絞扼部の阻血を代償する神経束間血流増加を示唆する所見で手根管症候群 (CTS) 診断に有用との報告があるが, 手術後の変化については不明である。CTS手術前後の正中神経InBF変化と他所見との関連について検討するため, CTS手術を行った6症例7手の術前から術後1年 (3か月ごと) の超音波所見と診察所見・伝導検査の変化を調査した。正中神経InBFは術前全例で出現し, 術後は徐々に不明瞭化, 1年で全例消失した。自覚的しびれと短母指外転筋筋力は術後3~6か月で改善し, 伝導検査では短母指外転筋記録運動神経遠位潜時と感覚神経伝導速度は術後3~6か月で改善した。InBF所見の不明瞭化・消失は, それが臨床症状や電気生理検査の改善後に生じていたことから, 手術後に神経修復のため増加した神経内血流が神経修復後に正常化する様子を観察している可能性がある。