臨床神経生理学
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特集 「統合失調症の病態とMMN」
統合失調症治療とミスマッチ陰性電位 (MMN)
志賀 哲也矢部 博興
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2020 年 48 巻 6 号 p. 646-649

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抄録

ミスマッチ陰性電位 (mismatch negativity; MMN) は聴覚の自動的識別機能を反映し, 生化学的には脳内のNMDA受容体機能を反映する。統合失調症においてはMMN異常の再現性は高く, 精神病ハイリスクにある者の発症予測としても期待されるようになった。統合失調症治療において, 単回の抗精神病薬がMMNに影響を与えないことが知られているが, 非定型抗精神病薬の長期的使用がMMNを改善するという報告もあり, ドパミン系への長期的な作用がMMNに影響を与える可能性はある。統合失調症患者において, ドパミンの最終代謝産物であるHVA (homovanillic acid) とMMNの相関や, COMT (catechol-O-methyltransferase) のVal108/158Met遺伝子多型とMMNとの関連についての我々の研究からは, 特に前頭前野のドパミンレベルがMMNに影響を与える可能性が示唆されている。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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