臨床神経生理学
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原著
把持運動負荷がMismatch Negativityに及ぼす影響
立川 諒木村 友昭
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2022 年 50 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

MMN (Mismatch Negativity) は, 脳内の自動処理過程を反映する神経生理学的指標の1つである。これまで, 運動負荷がMMNに及ぼす影響について検討した報告が少ないことから, 本研究はその影響について明らかにすることを目的とした。男子学生20名 (20.9±1.4歳) を対象に, 繰り返しの把持運動前後でERP (Event-related Potentials) を記録し, 差分波形からMMNを求め, その比較を行った。MMN潜時は運動負荷前後の有意な変化は認められなかった。前頭成分のMMN振幅が, 運動負荷後に有意に減少し, 側頭成分の有意な変化は認められなかった。このことから, 一定強度での把持運動負荷が, 前頭成分に反映される注意転換機能を低下させることが示唆された。一方, 側頭成分の有意な変化が認められず, 把持運動負荷は前頭及び側頭成分に対して異なる影響を与える可能性が示唆された。また, 本研究の結果は, 把持運動負荷により情報処理機能が抑制傾向へと変化したことを示す先行研究の結果と同様のものであった。

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© 2022 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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