2022 年 50 巻 3 号 p. 107-112
臨床神経生理学会が主催し, 臨床脳波の専門的知識・技術習得を目的とした脳波セミナー・アドバンスコースは2020年で5回を数えた。この経験を踏まえ, 本邦の臨床神経生理学の臨床・教育・研究の発展に係る問題点と方向性をまとめた。未だ臨床実用段階ではないが, 今後, 臨床脳波は情報通信技術とAI (artificial intelligence) の発展・活用が期待される。同時に, 脳波判読にかかる各科の医師, 技師の養成を継続しつつ, 脳波報告書の解釈の標準化や, ICU (intensive care unit) での長時間脳波モニタを含む脳波保険点数加算の要望など, 脳波学を一般臨床へ還元できる体制を整えていく必要がある。脳波教育・研究の発展に関し, 国内外の関連学会と協力する余地がある。そして, 基礎と実践 (ハンズオン) の教育機会の均てん化のため, Webの活用や各地域で講師育成を行って最適化する必要がある。また, 生涯教育, ICU専従医師などさまざまなキャリアを持つ医療者向けに教育対象を広げるのが望ましい。