2022 年 50 巻 3 号 p. 94-98
救命救急センターには, 刺激に対して反応を示さない昏睡状態の患者が多く搬送される。いかなる疾患であっても気道, 呼吸, 循環の状態を安定化させるために蘇生行為を行い, 診断および治療を行いながら予後予測をできるだけ早く行うことは重要である。特に成人における心停止後の昏睡状態にある患者の予後評価は単独の検査で判断せず, 時間をかけて慎重に対応するよう日本蘇生協議会蘇生ガイドライン2020にも記載されている。その内容の多くは, 予後不良の所見を確認する作業に終始する。その一方で, 我々は, 蘇生直後の短潜時体性感覚誘発電位N20の陽性所見のみに注目し, 予後良好例は全例陽性であったことが明らかとなった。初期診療室における検査には困難が多々あるが, 蘇生直後の良好な予後が期待できる条件として短潜時体性感覚誘発電位N20陽性の所見が有用となる可能性があるかもしれない。