臨床神経生理学
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特集「生体磁界計測による脊髄・神経・筋活動の評価」
生体磁界計測を用いた脊髄・神経根の神経電気活動の非侵襲的機能評価
橋本 淳川端 茂徳佐々木 亨足立 善昭吉井 俊貴
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2023 年 51 巻 6 号 p. 668-673

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抄録

神経磁界計測は,電流の周囲に生じる磁場を介して,生体内の神経電気活動を非侵襲的に評価する新たな神経機能評価法である。非常に感度の高い磁気センサを用いて,体表から深い位置にあり骨や軟部組織に覆われる脊髄や馬尾神経の微弱な磁場も捉えることができる。刺激法の開発や装置の改良を日々重ね,現在では全脊椎における非侵襲的神経機能評価が実現した。電流分布図を用いた定性的評価に加え,神経走行に沿った電流波形から算出する電流強度・伝導速度による定量的評価が可能であり,従来の神経生理検査では不可能であった無侵襲かつ詳細な評価をおこなえる。脊椎脊髄疾患の診断だけでなく,神経障害性疼痛の客観的評価,脊髄損傷後の経時的評価・治療効果判定など様々な神経機能評価に有用であり,今後の脊椎脊髄疾患治療の発展が期待される。

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© 2023 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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