2025 年 53 巻 4 号 p. 232-237
近赤外分光法 (NIRS) は, 過去50年の間に組織酸素モニタ法として, また脳機能イメージング法として発展してきた。しかし, 組織ヘモグロビン (Hb) の選択的かつ定量計測が困難であるため, NIRSの医療への応用は限られている。このような本法の限界を克服するために, 開発当初から様々な方法が提案され, 中でもtime-domain NIRS (TD-NIRS) は有望な方法で, 近年, 小型で高速計測が可能な装置が市販されるようになり利用が広がっている。さらに, 近赤外光トモグラフィ (NIROT) は, 頭皮から脳組織まで深度にそったHb濃度・濃度変化の分布を二次元または三次元で画像再構成することができ, 最も注目されている。今後, TD-NIRSとNIROTは, 精神科領域における「光診断」の可能性を切り拓くと期待される。