日本臨床プロテオーム研究会要旨集
第2回日本臨床プロテオーム研究会
セッションID: 6
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一般演題
尿のプロテオーム解析法の開発
*近藤 涼二郎大草 洋小寺 義男大石 正道松本 和将馬場 志郎前田 忠計
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抄録
 現在の膀胱癌検査の診断方法は、主に、尿細胞診・レントゲン検査・膀胱内視鏡検査などがあるが、確実な診断方法は膀胱内視鏡検査のような苦痛を伴う方法しかなく、患者に負担がかかってしまう。そこで、当研究グループでは、泌尿器科医と共同で膀胱癌特異的な診断マーカーを発見すべく、尿を対象にしたプロテオーム解析を開始した。
 尿は血液と同様に多くの生物学的情報を有している。特に泌尿器系疾患においては尿中にその症状を反映する情報が含まれている可能性が高い。従って、診断マーカーと成りうるタンパク質が尿中に多く存在すると考えられる。しかし、尿はタンパク量が少ないことに加えて高塩濃度のため、電気泳動で分析するためには前処理(脱塩・濃縮)が必要である。
 昨年、我々は様々な条件検討の結果、健常者尿を効率良く脱塩、濃縮する前処理法を開発し、それをアガロース二次元電気泳動法と組み合わせることで正常尿(血液生化学検査で正常範囲内かつ尿定性試験紙法で尿タンパク陰性)のプロテオーム解析を行った。その結果、従来報告されているよりも多くの尿中タンパク質を同定することに成功した。
 しかし、この前処理方法を膀胱癌患者尿に応用すると二次元電気泳動法で定量比較することが出来ないという大きな問題が生じた。これは尿中タンパク量の個人差が非常に大きいことに起因している。そこで、我々は膀胱癌患者尿のタンパク組成について分析するとともに、健常者尿と膀胱癌患者尿を定量解析するための適切な前処理法を検討した。
 研究会では尿タンパク質のプロテオーム解析結果とともに、膀胱癌患者尿を定量分析するための様々な試みについて発表する。
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© 2006 日本臨床プロテオーム研究会
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