抄録
近年増加の一途をたどる若年層の自殺について、子ども・若者育成支援に基づく「名古屋市子ども・若者総合相談センター」の相談現場での試行錯誤の取組みを報告すると共に、若年層が自死を選ぶに至る要因とその対策、また課題を提示する。
経済的不況や時代によるライフスタイルの変化、価値観の多様化等の変化の渦の中で、若者の悩みや課題、人生に対する不安に、若年支援に関わる専門家だけが向き合うだけでは、若年層の自殺を食い止めることはできない時代に突入した。そのため、「専門性以上に“関係性”」を重視した対応と、立場を超えた豊かで多様なつながりを、若者の周りに構築し、〔ネットワーク〕の力で若年層の苦しみを支えてきた。しかし、それでも止められない自死を選ぶ若者に対して、日々力不足を痛感する。
そこに何とか希望を見いだすとすれば、若者が自らのコミュニティ「仲間と居場所」を持つことだろう。そのコミュニティの中で生まれる「リカバリー」の力が若者を救うのではないか、と考える。「リカバリー」は一方的に与えられるものではなく、他者との相互性により発生する。その仕組みについても考察する。