自殺総合政策研究
Online ISSN : 2433-2380
Print ISSN : 2433-6939
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  • 高橋 哲, 岡本 みどり
    2025 年5 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    非自殺性自傷行為(NSSI)は青少年において広く観察され、その既往が将来の自殺リスクを増大させることが明らかとなっている。NSSIは効果的な自殺予防対策の上で重要な現象であるが、NSSIに関しては科学的な知見とは矛盾する誤解や俗説も散見される。本研究では、NSSI に対する対人援助職の認識や態度を概観し、背景要因や実務に及ぼす影響について論じた。その結果、対人援助職の間でもNSSI に関する俗説が存在し、不適切な対応が行われる可能性があることが明らかになった。また、NSSI に対する否定的な態度の背景には知識不足や無力感が存在し、経験が長いほど否定的な態度が認められるという知見が報告される一方で、結果は必ずしも一貫していなかった。対人援助職に対する継続的なサポート体制や研修の必要性が認められるほか、ジェンダーや経験がNSSIに対する態度や認識に与える影響に関する実証研究の蓄積が求められる。
  • 福本 啓介
    2025 年5 巻1 号 p. 13-23
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    筆者が社会的養育という領域に関わるようになって 20 数年、児童相談所の虐待対応件数は右肩上がりに増加をし続け、都市部の児童相談所の一時保護所はほとんど空きがない状態である。保護されている子どもは 10 代半ばから 10 代後半の年代が増加しており、彼ら彼女らは家庭や地域に居場所がなく、時には自ら助けを求め、時には学校や警察、地域からの通告を経て、児童相談所による公的支援や、さまざまな支援機関・団体による支援に繋がっている。本論文では、筆者がこれまで実践してきた社会的養育における自立支援と回復に向けたケアについて実践報告をすることで、さまざまな生きづらさを抱えるこども若者の自殺対策及び、日々の支援現場において心を尽くして目の前の一人一人と関わる支援者の皆さまに、わずかでも一筋のひかりが見出せたなら幸いに思う。
  • ネットワーク支援と、コミュニティが生み出す「リカバリー」の機能
    渡辺 ゆりか
    2025 年5 巻1 号 p. 24-39
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル オープンアクセス
    近年増加の一途をたどる若年層の自殺について、子ども・若者育成支援に基づく「名古屋市子ども・若者総合相談センター」の相談現場での試行錯誤の取組みを報告すると共に、若年層が自死を選ぶに至る要因とその対策、また課題を提示する。
    経済的不況や時代によるライフスタイルの変化、価値観の多様化等の変化の渦の中で、若者の悩みや課題、人生に対する不安に、若年支援に関わる専門家だけが向き合うだけでは、若年層の自殺を食い止めることはできない時代に突入した。そのため、「専門性以上に“関係性”」を重視した対応と、立場を超えた豊かで多様なつながりを、若者の周りに構築し、〔ネットワーク〕の力で若年層の苦しみを支えてきた。しかし、それでも止められない自死を選ぶ若者に対して、日々力不足を痛感する。
    そこに何とか希望を見いだすとすれば、若者が自らのコミュニティ「仲間と居場所」を持つことだろう。そのコミュニティの中で生まれる「リカバリー」の力が若者を救うのではないか、と考える。「リカバリー」は一方的に与えられるものではなく、他者との相互性により発生する。その仕組みについても考察する。
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