子育て研究
Online ISSN : 2189-7581
Print ISSN : 2189-0870
産褥入院中の初産婦が受ける育児支援
―「二人称的かかわり」を中心に―
永田 裕子佐伯 胖
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2013 年 3 巻 p. 18-27

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抄録

産科施設で出産後から退院までの間に行われている初産婦への育児に関する支援(指導)は、一般的に医学・生理学的な知識を基にした「三人称的」な内容であり、赤ちゃんに対する情感を込めた「二人称的かかわり」への指導はほとんど行われていない。その為、出産直後の初産婦の多くは「正しい手順」をこなすことに気を取られて余裕を無くし、自信を持てないまま育児をスタートしているのが現状である。本研究では、Reddy(2008) の「二人称的かかわり」を出産直後の育児指導、特に従来その指導が「技術的指導」中心になりがちの沐浴指導に焦点を当てて、育児指導の様々な「関わり方」に多様な「二人称的かかわり」を取り入れた支援を試みた。その結果、初産婦は出産後の育児不安を解消し、児との関わりに自信や余裕を持ち、児との心的交流に喜びを見出していた。本論文の成果は、出産直後の育児指導で行われる「三人称的」知識・技術の伝達を否定するものではなく、育児指導の中の様々なチャンスに、母親(父親も)が児への「二人称的かかわり」を取り入れることの可能性とその有効性を示したものである。

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© 2013 日本子育て学会
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