抄録
本研究では、5 名の母親に授乳についての日誌を依頼し、母乳か人工乳かを含めた授乳のやり方全般についての授乳スタイルが、どのように定着していくかを検討した。分析1では、日誌から、授乳評価についての語りと人工乳の増減との関係を検討した。その結果、多くの母親は、生後1ヶ月半から2ヶ月以内に、授乳に関して特定の語り口に安定していくことが見出された。分析2では、語り口が安定しなかった母親の日誌について、授乳スタイルの変化の背景として考えられる人工乳への“ わりきり” について、質的に検討した。このように授乳スタイルが安定しない背景には、母乳の出方についての“ わりきれなさ”、第三者の意見の取り込みと反発、および、乳量評価の根拠の受け入れ拒否などがあった。最後に、授乳からみる親への移行について論じた。