子育て研究
Online ISSN : 2189-7581
Print ISSN : 2189-0870
協同作業課題場面における青年期前期と後期の娘と母親の行動
—横断的データと縦断的データを用いた検討—
久保田 桂子
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2014 年 4 巻 p. 65-74

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抄録
本研究は,「行動分析」を中心に青年期の娘と母親の関係の発達差や変化の一部を横断的データと縦断的データから捉えることを目的とした。研究1 では,横断的データを用い,母娘関係の発達差を検討した。そして,研究2 では,縦断的データを用いることで,個人内の変化に注目した。研究1 の結果,中学生は母親の意見を無視した行動をとったり,母親を拒絶する行動が多くみられた。その一方,大学生の娘は母親が作業しやすくなるよう援助的な行動を多く示した。また,中学生の母親は援助側にまわっていたが,大学生の母親は娘と対等に課題を進めていた。さらに,中学生の娘と母親は,母親が娘を援助したり,指示を出してコントロールしながらも娘を中心に作業が進められ,大学生の娘と母親は,母親と娘が話し合いながら作業を進める対等な関係であることが示唆された。また,研究2 では,青年期前期から青年期中期に変化を示す娘とは異なり,母親は娘が青年期中期以降に変化することが示された。研究2 における違いは,青年期の娘と母親の関係において,母親と娘の変化のタイミングにズレが生じているとも捉えることができる。
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© 2014 日本子育て学会
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