抄録
現代の保育者は、保護者の子育てに関する悩みに対して援助を行うことが求められている。また、援助の際には「相談」という方法を用いることが多い。ところが、保育者の中には保護者とのコミュニケーショ ンに対して、苦手意識を持っている場合があることも明らかとなっている。本研究では、保育者養成校の学生の保護者からの相談に関する意識や、保育者になるために必要だととらえている知識・技術などを調 査した。その結果、養成校の学生の多くが、保護者の相談を受けることに自信がないことや、「経験」や「ア ドバイス」を重視していることなどが明らかとなった。また、保護者の相談を受けることに対して調査の対 象となった学生の中でも自信が無い学生は、保護者支援に対する意識が低く知識がないことや、保育者と しての視野が狭いことなどが明らかとなった。今後は、保護者支援に対する学生の意識を高めるとともに、 ソーシャルワークや心理カウンセリングの方法などを伝え、「経験」や「アドバイス」に頼らない保護者支援 の方法を学生に伝えていくことが、保育者養成を行っていくうえで重要であると思われる。