子育て研究
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外国籍保育士による支援が外国籍児の保育園適応に及ぼす心理的効果に関する質的研究
佐々木 由美子
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2015 年 5 巻 p. 21-29

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抄録
本研究の目的は、保育園における外国籍児の適応の過程を検討することから、そこに関わる外国籍保育士による支援がひとりの外国籍児にどのような心理的効果を及ぼすのかを見出すことである。本研究では、南米系の外国籍保育士が勤務する群馬県大泉町の保育園の3 歳児クラスを対象として、そこに入園した外国籍児に焦点を当て参与観察を行った。その結果、外国籍児は、困った事や伝えたいことがあると、外国籍保育士を探して母語で意思疎通を図り、それにより気持ちを落ち着けているような場面が多く観察された。また、外国籍保護者は外国籍保育士を介して保育園との情報交換を行い、良好な連携を築き始めた。これらのことから、外国籍児やその保護者にとって自分の気持ちを伝えることのできる母語でのコミュニケ―ションは重要であり、外国籍保育士による支援が両者に安心感を与え、外国籍児の保育園への適応を促進させる心理的効果をもたらすことが示唆された。
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© 2015 日本子育て学会
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