抄録
本研究は、国内における体系的でエビデンスに基づくいじめ防止プログラムの開発に向け、各国のいじめ防止プログラムの内容を分析し、効果的いじめ防止要素を抽出・検討することを目的とした。各国のプログラムを概観すると、働きかけは「ソーシャル・エモーショナルラーニング」が中心となっており、実施手順は「システム化」され、プログラムのEBP性についても問われるようになっている。近年のいじめ対策は、当事者だけへの働きかけから、学校・家庭・地域も含めた全校的取り組み(エコロジカルアプロー チ)へのシフトや、諸科学やメソッドの統合化などの傾向がみてとれ、働きかけの対象とその特性の「包括的なアプローチ」が必要とされている。