抄録
今日、不適応感を抱く育児期の母親の増大を背景に、母親が自らの心身の適応を維持・促進していくようなストレス・マネジメント力を育成する介入が注目されている。そのような介入の一つとしてマインド フル・ヨーガがある。マインドフル・ヨーガは、マインドフルネスを基盤としたストレス・マネジメント 法の一つである。本研究では、定型発達児を持つ育児期の母親を対象にマインドフル・ヨーガを2週間実施し、その効果を質的データに焦点を当て検討した。具体的には、まず、マインドフル・ヨーガ実施時に 記入を求めた練習記録の内容を、KJ法に基づくグループ分けの手法を用い分析・検討した。その結果、安静感やすっきり感をはじめとする心身の変化や不調感の緩和を実感したという報告が見られた。また、今ここにおける経験を観察していたことを示す報告も見られた。さらに、日常生活の中で子どもを叱らなくなったという報告も、僅かながら見られた。これらの報告をもとに、母親に対するマインドフル・ヨーガ の効果機序に関する仮説を生成した。