2013 年 1 巻 2 号 p. 133-142
腎移植は,末期腎不全患者の予後の点から,優れた腎代替療法としてあげることができる。一方で,移植医療は感染症や循環器疾患など多くの専門領域を含む集学的管理を必要としており,腎移植患者の予後をさらに改善していくために,腎移植における内科管理の重要性が近年強調されるようになってきた。しかし,これはあくまで移植外科医の立場からであり,残念ながら腎臓内科医自らの積極的な提案とは言えないのが現状である。2007年にKidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)から発表された腎移植レシピエントのためのガイドラインに引き続き,わが国でも2011年に日本臨床腎移植学会により腎移植後の診療ガイドラインが作成され,腎移植後の内科管理の重要性については広く認識されるようになった。しかし,いずれのガイドラインにおいても移植前管理については言及されていない。腎移植を行う/行わないに関わらず必要な腎移植前の内科マネージメントが,腎移植後の予後に大きな影響を与えていることについては意外と知られていない。腎移植前の内科管理の重要性について,まずは腎臓内科医自身が自覚し,その上で移植外科医との協働を図ることができれば,より質の高い腎移植医療を実現させることが可能となる。本総説では,移植前の内科管理として,①腎移植を見据えた腎不全管理・透析管理 ②腎移植前の感染症管理(ワクチン接種) ③腎移植前の原疾患の診断・管理について概説する。移植外科医が築き上げてきた日本の腎移植をさらに発展させ,腎不全患者の予後を改善していくためには,腎臓内科医が専門医としてより積極的に腎移植に関わっていかなければならない。腎移植のさらなる成功の鍵は,移植外科医よりも以前から腎臓病患者に関わっている腎臓内科医が握っているのである。