日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
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最新号
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総説
  • 平光 高久, 姫野 智紀, 島本 侑樹, 長谷川 雄基, 二村 健太, 岡田 学, 鳴海 俊治, 渡井 至彦
    2025 年13 巻2 号 p. 100-107
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    免疫抑制療法の進歩により,近年では腎移植後の移植腎予後,患者の生命予後は良好となっている。腎移植後は,拒絶反応,抗ドナー抗体産生を避けるために免疫抑制剤が必要となる。免疫抑制剤は至適血中濃度で管理されるが,腎移植後は健常人,透析患者と比較すると,発癌リスクが高くなることが報告されている。腎移植後のレシピエントの死亡原因として癌が最も多い原因となっている。そのため,腎移植後に特有の癌種,発癌による腎移植後の移植腎予後,患者の生命予後に対する影響,発癌のリスク因子,免疫抑制剤による影響,発癌対策についてまとめる。

  • 豊田 麻理子, 宮部 陽永, 川端 知晶, 濵之上 哲, 日髙 悠嗣, 山永 成美, 稲留 彰人
    2025 年13 巻2 号 p. 108-113
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    わが国では慢性的なドナー不足のため,高齢者や高血圧,糖尿病を持つマージナルドナーからの腎移植も行われている。生体腎移植ドナーの長期的安全は非常に重要だが,提供後時間の経過とともにフォロー率は低下しているのが現状である。これまでのドナーの予後に関する報告に共通しているのは,腎機能低下のリスクは提供後10年以上経過すると高くなること,その背景には既存あるいは新規に発症したCKD進行因子や他の重篤な合併症が関与していることである。継続的なモニタリングと合併症発症時の適切な介入が重要であるが,ドナーの高齢化や地理的事情により,移植施設ですべてのドナーを長期にフォローしていくのは難しい。地域やかかりつけ医で,ドナーを長期的に支えていく仕組みづくりについて考えてみたい。

  • 西川 晃平, 西川 武友, 加藤 桃子, 浦和 愛子, 渡部 小央里
    2025 年13 巻2 号 p. 114-120
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    本邦の高齢化を反映し生体腎移植ドナーの高齢化も進んでいるが,高齢の腎ドナー候補に対しては,高齢者の特徴を踏まえた包括的な適応判断が重要である。高齢ドナーにおいて,腎提供により死亡リスクが上昇するという証拠はないものの,若年者と比較し提供後に腎機能の低下をきたしやすい。とくに,肥満・高血圧などの並存疾患がある場合にはリスクは上昇する。また,高齢ドナーでの自発的意思の確認には意思決定能力の評価が重要であり,精神科などと連携し多方面からの判断が望まれる。さらに術後フォローでは,個々のドナーの状況に応じて通院を継続しやすいシステムを構築することが重要である。

  • 祖父江 理, 中井 真一, 中川 直樹, 酒井 謙
    2025 年13 巻2 号 p. 121-127
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    腎移植を受けた患者は,血液透析を受けている患者に比べて就労の機会が多いと報告されている。しかし,日本における腎移植患者と血液透析患者の就業・生活状況の比較は不足している。日本透析医会調査2021により血液透析患者の生活状況が明らかとなったが,腎移植患者における生活状況の実態は明らかになっていない部分も多い。今回,厚生労働行政推進調査事業費補助金の一環として,移植後の就労・通院・介護保険・事前ケア計画(ACP)などの実態調査を施行し,146名の移植患者(51.7歳 男性52%)から回答を得た。就労している患者は41%(日本透析医会調査28.4%)であった。65歳未満の就労状況は血液透析患者と比較して高率であった。就労形態が腎移植後に変化した患者は39%,就労の継続に特別な配慮を要した患者は42%であった。介護認定を受けている患者は8%(日本透析医会26%)であった。通院手段は1人で通院できる患者が78%(日本透析医会57%)であった。ACPに関して家族と話したことがある患者は27%(日本透析医会20%)であった。生体腎移植はとくに65歳未満の世代において就労面に適した腎代替療法であるが,腎移植後レシピエントの高齢化に伴い,生活に支援を要する患者割合は透析患者に近くなっている。

  • 小川 恵子
    2025 年13 巻2 号 p. 128-132
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    慢性腎臓病(CKD)に対し,漢方薬は倦怠感・浮腫・筋痙攣などの症状緩和や腎機能維持に有用である。芍薬甘草湯は即効性を持ち,透析患者の筋痙攣に効果を示す。八味丸・牛車腎気丸は腎虚に伴う冷え・浮腫・夜間頻尿の改善に寄与し,十全大補湯は免疫調整作用により腎移植前後の倦怠感や免疫機能改善に役立つ。黄耆は炎症抑制やRASS制御などを通じてeGFR改善効果を示し,養腎降濁湯は気陰両虚と濁毒を目標に処方され,末期CKD患者においてeGFRの有意な改善を認めた。症例に応じた漢方治療は,CKDにおける個別化医療として有望である。

  • ─今後の研究の動向─
    白井 陽子, 三浦 健一郎, 田邊 賢司, 服部 元史
    2025 年13 巻2 号 p. 133-137
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    一次性ネフローゼ症候群の原因は長年不明とされてきたが,2022年に微小変化型ネフローゼ症候群の病態に抗ネフリン抗体が関与することが明らかとなり,大きな進展をもたらした。一方,巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は難治性で,腎移植後にも高頻度で再発し移植腎廃絶にいたる希少疾患である。われわれは多施設共同研究により,抗ネフリン抗体が腎移植後FSGS再発における液性因子の候補の一つであることを示した。さらに,抗ネフリン抗体陽性の腎移植後FSGS再発症例の抗ネフリン抗体が認識するネフリン分子上のエピトープ解析を進めている。本稿では,抗ネフリン抗体が関与する腎移植後FSGS再発の病態解明を目指した最新の研究成果を概説する。

原著
  • 三浦 正義, 東山 寛, 福本 麻衣子, 窪田 裕美
    原稿種別: 原著
    2025 年13 巻2 号 p. 138-142
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    【目的】腎移植後肥満を有する糖尿病症例に対するチルゼパチドの効果を検討した。【方法】対象は,栄養運動療法に抵抗性の2型糖尿病を有する肥満腎移植患者29例である。過去にリラグルチド投与が行われた12例を対照群とし,チルゼパチドを投与した22例(TRZ群)について(重複あり),治療前から開始6ヵ月後までの体重変化,血清クレアチニン値(sCr),尿蛋白クレアチニン比(uP/Cr),ヘモグロビンA1c(HbA1c),インスリン投与中症例では持続血糖測定による2週間平均血糖(MBG),インスリン総単位数を比較検討した。【結果】TRZ群において開始前に比べて6ヵ月ではHbA1cは平均6.5から5.9%に,MBGは133から113mg/dLに有意に低下し,対照群に比し有意に低かった。体重は75.6kgから69.5kgと有意に減少し,インスリン総単位数は26.1から16.2U/dayに有意に減少,sCrとuP/Crは有意な変化がなかった。6ヵ月間での体重はTRZ群-6.25と対照群で0.38kgに比して有意に減少した。【結語】2型糖尿病を有する肥満腎移植後患者においてTRZは糖尿病コントロール改善および減量に有効であった。

  • 赤木 直紀, 大林 立樹, 山本 章寛, 名越 晶彦, 藤原 佑, 五十嵐 篤, 服部 悠斗, 柴崎 昇, 井上 幸治, 岡田 卓也, 清川 ...
    原稿種別: 原著
    2025 年13 巻2 号 p. 143-149
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    【目的】生体腎移植術後のリンパ囊腫発生因子について検討した。【対象と方法】2002年1月から2024年7月までに当院で施行した生体腎移植68例を後方視的に検討した。リンパ囊腫は,超音波またはCTで認められた移植腎周囲の液体貯留と定義した。リンパ囊腫の発生と患者背景,術式,周術期成績との関連を解析した。手術時期は術者の交代に基づき初期,中期,後期,直近の4期に分類した。治療介入にはドレナージ,リンパ管造影,開窓術が含まれた。【結果】リンパ囊腫の発生は16症例(23.5%)あった。発生率は初期12.5%,中期18.8%,後期12.5%,直近45%であった。Preparation時に結紮を行わず,シーリングのみを使用した症例ではリンパ囊腫の発生率が有意に高かった(結紮6/42例:14.3%,シーリング10/26例:38.5%,p=0.038)。また,有意差はなかったが2週間以内のエベロリムス(EVR)導入(p=0.08)と冷虚血時間(CIT)が長い症例(p=0.053)と手術時期が直近の症例(p=0.08)はリンパ囊腫の発生率が多い傾向があった。治療については,16例のうち8例が経過観察とされ,6例は自然消失した。残りの2例は無症候性のまま残存していた。治療介入を行った8例のうち7例に関しては軽快し,リンパ管造影まで施行した1例のみが,他疾患の治療優先度のため経過観察された。ドレナージを要した3例はすべてpreparationがシーリングのみの症例であった。【結語】Preparation時に結紮を省略する手技は,リンパ囊腫の発生率の上昇と関連していた。

臨床研究報告
  • 小﨑 浩一, 岩崎 健一, 阿部 由督, 鈴木 博之, 諏訪 達志
    原稿種別: 臨床研究報告
    2025 年13 巻2 号 p. 150-156
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    【目的】超高齢社会のわが国では腎移植でも高齢化が進んでいる。(1)移植時70歳以上のドナー(D)・レシピエント(R),(2)2025年2月の時点で70歳以上の腎移植患者の現状と問題点を報告する。【対象】(1)70歳以上のD9例・R6例,(2)70歳以上のR20例を対象とした。【結果】(1)70歳以上のDの腎提供後腎機能は,70歳未満Dと有意差はなく,Rの移植腎機能は良好であったが,肝不全,肺炎,不慮の事故,脳出血で4例死亡した。(2)わが国の高齢化の影響から,70歳以上のRでは移植後に高齢夫婦のみ,もしくは高齢Rが独居で生活することが20例中18例(90%)と高率に発生していた。【結論】年齢によりDで腎機能低下は認めず,Rでも移植腎機能は良好であった。高齢化社会の中で,地域の高齢腎移植患者が安心して生活するには腎機能とともに生活環境にも配慮し,地域包括ケアシステムの中で患者が孤立しないようにすることが必要である。

症例報告
  • 池田 正博, 田﨑 正行, 齋藤 和英, 冨田 善彦
    2025 年13 巻2 号 p. 157-160
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    症例は61歳男性。35歳時に腹膜透析を導入され,38歳時に献腎移植を受けた。移植後10年で移植腎機能低下し血液透析を導入された。61歳時に脳死下献腎移植レシピエントとして選定され,リンパ球交差試験は補体依存性細胞障害試験陰性だったが,フローサイトメトリー試験がT細胞陰性,B細胞陽性であった。拒絶反応のリスクを十分に説明し,術前の血漿交換とリツキシマブ投与,免疫グロブリン静注療法による脱感作療法を施行した後,脳死下献腎移植を行った。移植前の抗HLA抗体検査ではDQ5に対する抗ドナー抗体が検出されたが,脱感作療法によりmean fluorescence intensityは4,654から932へと低下した。周術期は拒絶反応を認めず腎機能は良好であった。リンパ球交差試験陽性症例に対する献腎移植であったが,脱感作療法により拒絶反応なく施行することができた。献腎移植では術前に免疫学的リスクの詳細な評価ができず脱感作療法を行う時間も限られるため,適応を含めた十分な検討が必要である。

  • 大仁田 亨, 岩田 隆寿, 柿田 聖太, 松島 俊樹, 鹿子木 桂, 伊達 雅浩, 山下 由恵, 岡 哲, 錦戸 雅春
    2025 年13 巻2 号 p. 161-164
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    症例は61歳女性。41歳時に左腎盂癌で左腎尿管全摘,43歳時に右腎盂癌,膀胱癌で右腎盂部分切除,膀胱全摘,右尿管皮膚瘻造設,46歳時に右腎盂癌再発にて右腎尿管全摘施行され,全尿路全摘の状態となり血液透析を導入された。今回くも膜下出血後の61歳男性をドナーとする脳死下献腎移植レシピエントとなり,当院にて献腎移植術を施行した。右側は尿管皮膚瘻造設,摘出術後であったため,移植部位は左側を選択した。膀胱全摘時に両側内外腸骨リンパ節郭清を施行されており癒着が著明であったため,移植腎を上下反転させて置き,腎動静脈を左総腸骨動静脈に吻合し,左上腹部に尿管皮膚瘻ストマを作成した。術当日より利尿が得られ血液透析を離脱,術後25日目に退院となった。全尿路全摘術後の患者に腎移植が行われることはまれであるが今後も同様の症例を経験する可能性はあり,移植部位,尿路変向の方法など事前に十分に検討して臨むべきであると考えられる。

  • ─特殊な事例におけるコーディネーターの役割─
    松本 典子, 三浦 まき, 板垣 友子, 守屋 靖代, 麦田 稔貴, 寺戸 成美, 加藤 容二郎, 吉武 理
    2025 年13 巻2 号 p. 165-168
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    生体腎移植は,生命予後の改善・生活の質向上に有効だが,倫理的な課題も存在する。日本では非親族間の移植は少なく,とくに未婚や事実婚の関係性に関する制度や社会的理解は十分ではない。今回の事例では,未入籍の内縁の妻からの腎提供を規定に沿った申請を行い承認を得て実現した。移植までには約 8ヵ月を要したが,術後は透析離脱とともに旅行などを行えるようになり生活の質の向上を感じていると患者から聞かれている。今後社会の多様化に伴い,制度などの見直しが求められると予測されるなかで,移植コーディネーターとして患者の意思決定支援を適切に行い,手続きの負担を軽減できるように,適切な調整を行う役割が重要となっている。

看護研究報告
  • 山縣 香織, 大越 教夫, 澤田 和彦
    原稿種別: 看護研究報告
    2025 年13 巻2 号 p. 169-173
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    先行研究にて茨城県内高等学校に送付した移植医療教育DVD教材の活用強化を目的とし,新たに移植医療教育の高校教員用学習指導案を作成した。同時に,送付したDVD教材の現在の活用状況について調査を行った。学習指導案の構成は,「①主題名」,「②教材名」,「③題材の目標」,「④主題設定の理由」,「⑤本時の指導」とし,「⑤本時の指導」は「1)ねらい」,「2)準備・教材」,「3)展開」とした。「3)展開」はDVD教材を使用した授業の進行を「導入」,「展開」,「終末」に分け記した。DVD教材の利用状況調査の回収率は8%と低かったが,回答した高校のほとんどがDVD教材の使用を検討中であるとしたことから,本研究において作成した学習指導案により,移植医療教育の授業においてDVD教材を使用する高校が増えることに期待する。

コーディネーター研究報告
  • 福本 麻衣子, 小松 夏実, 山﨑 奈美恵, 三浦 正義
    原稿種別: コーディネーター研究報告
    2025 年13 巻2 号 p. 174-176
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    【目的】腎移植前患者の保存期慢性腎臓病(NDD-CKD),血液透析(HD),腹膜透析(PD)療法別の生活の質(QOL)を調査し検討した。【方法】腎移植直前に健康関連QOL尺度(SF-36v2)を実施した。89例を対象とし,8つのサブスケールを各療法間で比較した。【結果】NDD-CKD患者は「身体機能」「日常役割機能(身体)」がHD患者より有意に高かった。PD患者は「日常役割機能(身体)」「体の痛み」がHD患者より有意に高く,「全体的健康感」は高い傾向にあり,「体の痛み」「全体的健康感」はNDD-CKD患者より高い傾向があった。PD患者は他の療法よりも身体的健康度だけではなく精神的健康度も高い結果だった。【結論】腎移植前患者では,PD患者のQOLは他の療法に比べ高かった。腎移植前に透析導入が必要な場合は,PD選択でQOLが保たれる可能性が示唆された。

活動報告
メディカルスタッフ優秀賞受賞論文
  • 栗本 加奈美, 西村 美和, 長谷川 香織, 原田 浩
    原稿種別: メディカルスタッフ優秀賞受賞論文
    2025 年13 巻2 号 p. 179-182
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル 認証あり

    腎移植後の患者は免疫抑制療法により感染症や腫瘍性疾患などの有害事象のリスクが高く,定期的な検診の重要性が指摘されているが,実際の受診状況は十分に把握されていない。本研究では,当クリニックを定期受診した腎移植レシピエント 384名を対象にアンケート調査を行い,各種検診の受診の実態と課題を明らかにした。胃がん検診53.4%,大腸がん検診47.6%,乳がん検診54.5%,子宮がん検診49.7%,一般健診49.5%,眼科検診43.5%,歯科検診 56.0%と,いずれも受診率はおおむね半数前後にとどまった。検診の必要性に対する認識不足や情報提供の不足,受診の手間など,複数の要因が背景にあると考えられた。腎移植後の長期的な管理において,定期的なフォローアップに加え,検診の重要性を伝えるとともに,受診支援体制の強化が重要な課題である。

腎移植連絡協議会
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