症例は61歳男性。35歳時に腹膜透析を導入され,38歳時に献腎移植を受けた。移植後10年で移植腎機能低下し血液透析を導入された。61歳時に脳死下献腎移植レシピエントとして選定され,リンパ球交差試験は補体依存性細胞障害試験陰性だったが,フローサイトメトリー試験がT細胞陰性,B細胞陽性であった。拒絶反応のリスクを十分に説明し,術前の血漿交換とリツキシマブ投与,免疫グロブリン静注療法による脱感作療法を施行した後,脳死下献腎移植を行った。移植前の抗HLA抗体検査ではDQ5に対する抗ドナー抗体が検出されたが,脱感作療法によりmean fluorescence intensityは4,654から932へと低下した。周術期は拒絶反応を認めず腎機能は良好であった。リンパ球交差試験陽性症例に対する献腎移植であったが,脱感作療法により拒絶反応なく施行することができた。献腎移植では術前に免疫学的リスクの詳細な評価ができず脱感作療法を行う時間も限られるため,適応を含めた十分な検討が必要である。
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