日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
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最新号
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総説
  • 吉田 朋子, 野口 文乃, 仲宮 優子, 石井 大輔
    2026 年14 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    慢性腎臓病において,栄養療法は薬物療法と併せて治療の重要な柱の1つである。さらに,腎臓病患者には個別化された継続的な栄養介入の重要性が認識されている。とくに,腎移植後患者に対しては,病態,免疫抑制療法を含む薬物療法,生活背景を踏まえた個別化栄養療法は,移植腎の長期生着および合併症予防に寄与する可能性がある。腎移植医療はチーム医療であり,腎移植後患者に対しては医療従事者がそれぞれの専門分野に基づいて連携し,継続的な支援を行うことが不可欠である。本稿では,管理栄養士およびレシピエント移植コーディネーターが担う腎移植後患者に対する個別化栄養療法の支援方法と多職種連携の必要性について概説する。

  • 本多 貴実子
    2026 年14 巻1 号 p. 8-15
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    医療技術の進歩や高齢化により医療費が増えるなか,限られた医療資源をどの医療に用いるかは重要な課題である。費用効果分析は,複数の治療や政策について,かかる費用と得られる健康改善をあわせて比べる方法である。代表的な指標である増分費用効果比(incremental cost-effectiveness ratio:ICER)は,追加の健康改善を得るために必要な追加費用を示す。効果の指標には質調整生存年(quality-adjusted life year:QALY)がよく用いられ,生存期間と健康関連 QOLを同時に評価できる。本稿では,費用効果分析の基本を概説し,日本,米国,オーストラリアの腎移植領域における分析事例を紹介する。いずれも腎移植の活用拡大が費用効果的でありうることを示すが,結果の解釈には分析の前提や制度的背景の確認が必要である。

  • 山永 成美
    2026 年14 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    本邦の臓器提供および献腎移植は近年増加傾向にあり,パンデミック収束後には提供数の顕著な回復と国民の意思表示率の向上が認められている。一方で献腎移植待機期間は依然として約15年と長期であり,待機中死亡や状態悪化による登録取り消しも少なくない。さらに臓器提供増加に伴い,移植検査体制や人的資源の逼迫が顕在化している。とくに特定移植検査センターの減少とクロスマッチ検査の非効率性は深刻な問題である。これに対し,抗HLA抗体測定を基盤としたバーチャルクロスマッチの導入が検討されており,検査負担軽減と迅速な意思決定への寄与が期待される。また,レシピエント選択基準や臓器配分の在り方についても再検討が求められている。さらに,小児腎en bloc移植や地域完結型摘出体制の整備など,新たな取り組みも進んでいる。本稿ではこれらの現状と課題を整理し,持続可能で公平な移植医療体制の構築に向けた展望を論じる。

  • ─病態・疾患概念から疾患特異的治療まで─
    二村 健太, 姫野 智紀, 大木 悠太郎, 家永 彩乃, 島本 侑樹, 長谷川 雄基, 岡田 学, 平光 高久, 鳴海 俊治, 渡井 至彦
    2026 年14 巻1 号 p. 22-30
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    C3腎症は補体第二経路の制御異常によりC3が糸球体に過剰沈着する希少かつ難治性の腎炎であり,患者の半数以上が末期腎不全に進行する。腎移植後の再発率は60〜90%と極めて高率で,再発までの中央値はわずか33日とごく早期である。再発症例では蛋白尿などの臨床徴候出現以前から組織学的傷害が進行することが報告されており,プロトコル生検による積極的な早期診断の重要性が認識されつつある。2025年に補体B因子阻害薬イプタコパンがC3腎症に対する初の疾患特異的治療薬として承認され,従来の免疫抑制療法では制御困難であった本疾患の治療戦略は新たな局面を迎えている。一方で抗補体薬使用には莢膜形成菌による感染症リスクがあり,ワクチン接種を基盤とした多層的なリスク管理が不可欠である。本稿では,C3腎症の病態生理・診断・腎移植後の予後・治療について概説するとともに,当院で経験した腎移植後C3腎症再発の自験2症例を報告する。

  • 高上 紀之, 酒井 謙
    2026 年14 巻1 号 p. 31-35
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    日本の腎代替療法選択は大きく血液透析(HD)に偏っており,腹膜透析(PD)や腎移植の全体に占める割合は少ない。個々の患者の背景に応じた適切な治療選択を患者と医療者が一緒に行う共同意思決定(SDM)が重要視され,在宅治療の推進や医療費抑制が求められる背景のなか,国はPDや腎移植を推進する施策をとってきている。腎代替療法医療専門職推進協会により新たに「腎代替療法専門指導士」資格が新設され,本資格は診療報酬における人工腎臓導入期加算と結びついたものとなっている。腎代替療法専門指導士は各医療専門資格をバックグラウンドに有し,腎代替療法選択におけるチーム医療の中心的役割を担い,在宅透析の普及や腎移植を増やすための試みを実践する。また,腎代替療法医療専門職推進協会ではその設立当初から,透析の見合わせに対して,適切な緩和ケアを提供できる指導士体制の構築を掲げている(日本腎代替療法医療専門職推進協会定款(抜粋)第2章第3条)。腎移植領域では,献腎移植への関与やドナー増加への試みも求められている。今後の腎移植数増加が見込まれるなか,腎移植診療において腎代替療法専門指導士の果たす役割は大きくなっていくと考えられる。

  • ─新規薬剤を中心に─
    尾本 和也, 海上 耕平, 清水 朋一, 平井 敏仁, 乾 政志, 高木 敏男, 石田 英樹
    2026 年14 巻1 号 p. 36-42
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    腎移植におけるサイトメガロウィルス(CMV)感染は依然として移植腎機能低下や拒絶反応誘発の重要なリスク因子である。当院ではこれまでバラガンシクロビル(VGCV)の長期投与に伴う骨髄抑制を考慮し,予防投与よりも先行治療を基本方針としてきた。とくに高リスク群(D+/R-)においては,モニタリングと迅速な治療介入を行うことがより重要と考えている。一方で2024年より骨髄抑制の少ない予防薬としてのレテルモビルや,難治症例に対するマリバビルが国内承認されるなど,治療の選択肢が広がっている。本稿ではこのような新規薬剤の登場を踏まえ,高リスク群におけるCMV感染のマネジメントを行う際にどのような点に留意するべきか,とくにウィルス曝露の負荷(CMV burden)を可能な限り最小化する重要性などを含め,これまでの報告をもとに考察し,当院におけるマネジメントについて概説する。

  • 内山 清貴
    2026 年14 巻1 号 p. 43-49
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    本邦における腎移植の推進には,腎臓内科医が腎移植に習熟することが必要条件であるが,現状では十分に達成されているとは言いがたい。課題としてまず,腎移植を「専門」とするキャリアプランの見えにくさがある。移植施設数や施設毎の症例数は限られており,腎移植を「専門」とする第一人者も多くない。そもそも,「移植内科医」のように腎移植を専門性として切り出すこと自体,専門性と普遍性のトレードオフの観点から,本来の方向性との乖離を生じ得る。さらに,本邦では移植手術から移植後管理まで,伝統的に腎泌尿器外科が中心に担ってきた経緯があり,腎臓内科医が主体的に関与しにくい構造も存在する。この点では,腎移植に携わる外科医の理解と協力も不可欠である。腎移植を腎代替療法の一選択肢として,腎臓内科医の間でより普遍的に位置づけるため今後期待される改革について,「比較的」若手腎臓内科医の立場から議論する。

  • 奥見 雅由
    2026 年14 巻1 号 p. 50-54
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    末期腎不全患者の増加に伴い,腎移植需要は世界的に拡大しているが,深刻なドナー不足が依然として大きな課題となっている。とくに日本では献腎移植待機期間が極めて長く,新たな臓器供給源の確立が求められている。このような背景から,異種移植(xenotransplantation)が再び注目されている。近年,CRISPR/Cas9を用いた遺伝子改変技術の進歩により,異種抗原除去,補体制御,凝固制御,炎症制御を目的とした多遺伝子改変ブタ(multi-gene edited pig)が開発され,異種移植研究は大きく進展した。さらに,CD40-CD40L共刺激阻害を中心とした新規免疫抑制療法の導入によって,ブタ‐霊長類間異種腎移植の長期生着が達成されつつある。近年では,ヒト脳死体モデルや臨床応用例も報告され,異種腎移植は臨床応用段階へ移行しつつある。一方で,異種移植には拒絶反応のみならず,感染症,生理学的不適合,倫理的・社会的課題など,多面的課題が存在する。とくにPERVやPCMVなどの人獣共通感染症リスクへの対策が重要であり,指定病原体フリー(DPF)環境下でのドナー管理や長期感染モニタリング体制が求められる。異種腎移植は,ドナー不足という移植医療最大の課題を根本的に解決しうる可能性を有する。一方で,長期安全性や社会的受容性の確立が不可欠であり,今後は医学のみならず,倫理・法制度を含めた包括的議論が重要となる。

  • ─病態に応じたモダリティ選択と実践─
    三原 悠, 小牧 和美, 宮下 雅亜, 奥見 雅由, 玉垣 圭一
    2026 年14 巻1 号 p. 55-61
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    慢性的なドナー不足が続くわが国において,免疫学的ハイリスク症例における拒絶反応は重要な課題である。血漿交換療法は,術前脱感作,移植後抗体関連型拒絶反応,ならびに巣状分節性糸球体硬化症再発例の治療において中心的役割を担う。血漿交換療法には単純血漿交換,二重濾過血漿交換,選択的血漿交換があり,除去対象分子や凝固因子の温存,置換液の選択などの点で特性が異なる。とくに新鮮凍結血漿(FFP)を用いる場合には,アレルギー反応やアナフィラキシーのリスクに注意を要する。また,腎移植周術期においては出血リスクへの配慮が必要であり,フィブリノーゲン値に応じたFFP補充が求められる。本稿では,腎移植領域における各血漿交換モダリティの特徴と適応病態を概説するとともに,当院における免疫学的リスクに応じた実践的治療戦略を紹介する。

  • 福本 麻衣子, 窪田 裕美, 山﨑 奈美恵, 北川 瑚姫, 池田 未来, 小山 詩織, 三浦 正義
    2026 年14 巻1 号 p. 62-68
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    腎移植は透析療法と比較して生命予後および生活の質(QOL)の改善が報告されている。しかし,移植腎機能を長期的に維持するためには,服薬アドヒアランスの維持を含む患者自身のセルフケア能力の向上に加え,生活習慣病やサルコペニア・フレイルの予防が不可欠である。また移植後も多職種間で情報を共有し,継続的な介入を行うことで,患者のヘルスリテラシーが向上し,移植腎機能の長期的な維持および予後の改善に寄与すると考えられる。さらに,近年ではモバイルアプリを活用した介入により,自己管理能力の改善が期待されるとともに,医療者と患者間での簡便かつ継続的な情報共有が可能となっており,移植後管理の新たな手段として注目されている。本稿では,これらの知見を概説するとともに,当院における多職種介入およびモバイルアプリを用いた生活指導の経験を踏まえ,腎移植患者のセルフケア支援における今後の方策と課題について考察する。

  • ─移植外科医の立場から─
    寺西 淳一
    2026 年14 巻1 号 p. 69-74
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    移行期医療は,患児が将来,一人で生きていくためのステップであり,腎移植医療においても克服すべき重要な課題の1つである。とくに思春期の腎移植患児は,移植腎喪失につながる服薬ノンアドヒアランスを生じやすく,潜在的に存在する知的障害や家庭環境も服薬アドヒアランスに影響する。また,小児腎移植患児では,不登校や家庭環境の影響でコミュニケーション能力の低下を招き,社会的アウトカムが低下している可能性がある。これらを踏まえ,腎移植の移行期医療では,服薬ノンアドヒアランスの防止と社会的アウトカムの改善を念頭に置いて対処する必要がある。医療者側の問題として,移行先の成人診療科医師が小児患者の扱いに不慣れな場合は,しばらく小児科の診察も並行して行うことをお勧めする。小児腎移植患児の移行期医療においては,多職種がかかわる移行プログラムを含むシステムを構築することが望まれる。

  • ─最新診療ガイドラインに基づく治療方針から腎移植後のファンタスティックフォーを提案する─
    原田 浩, 辻本 高志
    2026 年14 巻1 号 p. 75-86
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    わが国の移植腎生着率は良好であるが,一定の割合で移植腎機能喪失に至る症例が存在する。移植腎廃絶の主因である慢性活動性抗体関連拒絶反応や慢性活動性T細胞性拒絶反応の克服は喫緊の課題であるが,現時点では確立された標準的治療法は乏しい。さらに,種々の理由により訪れたネフロンマスの減少や,それに伴う糸球体過剰濾過による間質の線維化は腎の障害を加速させる。これに加え高血圧,脂質異常症,糖尿病,高尿酸血症など生活習慣病の合併・悪化,ならびに免疫抑制薬の副作用は免疫学的なリスクとは独立した非免疫学的な移植腎悪化因子として移植機能をさらに低下させる。本稿では,これら非免疫学的な移植腎機能増悪因子に対する介入・克服の可能性について最新の診療ガイドラインに基づき総括し,近年心不全および糖尿病性腎症領域において有効性が示されているファンタスティックフォー治療概念を移植腎管理に応用する可能性につき提案する。

原著
  • 石山 宏平, 河田 賢, 雫 真人, 安次嶺 聡, 小林 孝彰
    原稿種別: 原著
    2026 年14 巻1 号 p. 87-93
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    【研究目的】当院では,後腹膜鏡下ドナー腎採取術を標準手技として採用している。本報告では,低難易度の腹腔鏡手術に習熟した術者の視点から,手技定型化の工夫や留意点と手術成績を報告する。【方法】2012年7月から2025年7月までの期間に,4名の術者が担当した後腹膜鏡下ドナー腎採取術234例(左腎198例,右腎36例)を検討した。【結果】男性80例,女性154例。平均年齢60±10歳,平均BMI 23±3。左腎採取で平均201±55分,出血量46±75mL,温阻血時間286±83秒。右腎採取で平均231±49分,出血量75±129mL,温阻血時間402±101秒であった。腎機能(eGFR:mL/min/1.73m2)に関しては,術前82±15,術1週間後47±9,術1年後eGFR 51±10。開腹移行を1例,尿管損傷を1例認めたが,全期間で輸血症例やClavien-Dindo分類 GradeⅡ以上の術後合併症は認めなかった。【結論】後腹膜鏡下ドナー腎採取術初心者であっても,基本手技を順守し,術野展開に十分な時間をかけることで,安全かつ確実な腎採取が可能である。

  • 西田 隼人, 福原 宏樹, 髙井 諭, 縄野 貴明, 竹原 知宏, 伊藤 英, 末永 信太, 髙井 優季, 成澤 貴史, 八木 真由, 山岸 ...
    原稿種別: 原著
    2026 年14 巻1 号 p. 94-99
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    【研究目的】腎移植後悪性疾患スクリーニングの有効性について検討した。【方法】当科で腎移植を受けた135例を対象とした。がん検診を勧め,2年に1回胸腹骨盤単純CTを行った。受診の有無,および不完全受診ないしは非受診の危険因子を解析した。癌腫とその発見契機,進行度と治療も解析した。【結果】135例中113例が検診を受けていた。不完全受診もしくは非受診の危険因子は高齢のみだった。135例中14例に悪性疾患が発生していた。腎癌・前立腺癌・肺癌・皮膚癌が2例,胃癌・大腸癌・乳癌・歯肉癌・膵癌・原発不明癌が1例だった。発見の契機は,皮膚癌の2例と歯肉癌および原発不明癌は症状だったが,ほかは検診異常および検査値異常だった。癌死は原発不明癌と急速進行肺癌の症例のみだった。【結論】一般がん検診とCTによる悪性疾患スクリーニングの受診率は高く,悪性疾患の早期発見に一定の効果が得られた。

臨床研究報告
  • 永井 恵, 中島 健太郎, 石橋 駿, 高橋 一広, 植田 敦志, 臼井 丈一
    原稿種別: 臨床研究報告
    2026 年14 巻1 号 p. 100-103
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    当院は移植施設より遠方に位置する非移植施設であるが,常勤の腎臓内科医と非常勤の腎移植外科が協力して腎移植外来を開設し,腎移植の推進を図ってきた。本研究の目的は,当院の腎移植外来の実態を明らかにすることである。調査対象は2018年1月から2026年4月までに腎移植外来を受診した77例であり,臨床的特徴を電子カルテシステムより抽出し解析した。対象患者の内訳は,ドナー候補者10例,移植後患者2例,移植不適格症例17例,腎移植待機患者48例であった。腎移植待機患者に対して,2026年4月まで9年間で22例に腎移植が行われ,初回外来受診時に透析未導入15例では中央値17ヵ月(四分位範囲:12~24ヵ月)で生体腎移植が実施され,うち5例が先行的腎移植であった。腎移植者数は,医療圏の人口から推定される1.2~2.1人/年の期待値の範囲を超える2.4人/年であった。当院の腎移植外来は,腎移植の推進に寄与した可能性が示唆された。

症例報告
  • 高橋 和宏, 越智 敦彦, 相原 英聴, 池田 麻理, 松波 昌寿, 矢嶋 淳, 鈴木 智
    2026 年14 巻1 号 p. 104-107
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    腎移植術後に膀胱尿管吻合部で発生する移植尿管関連合併症に対する外科的治療法の1つとして,自己尿管を移植腎盂に吻合するpyeloureterostomyが知られている。従来,本術式は開放手術により施行されてきたが,近年では海外においてロボット支援下での腹腔鏡手術の報告も散見される。一方,本邦において腹腔鏡下での本術式は依然として一般的ではない。今回,腎移植術後に移植尿管壊死に伴う膀胱尿管吻合部縫合不全から尿漏を発症し,尿管ステント留置による保存的治療では改善が得られなかった症例に対し,腹腔鏡下で自己腎摘出およびpyeloureterostomyを一期的に施行し,良好な経過を得た症例を経験した。本術式は,移植尿管関連合併症に対する低侵襲かつ有効な治療選択肢の1つとなり得ると考えられる。

  • 野口 毅朗, 中村 碩秀, 本田 誠一郎, 花井 孝宏, 望月 拓, 高本 大路, 石田 寛明, 寺西 淳一, 槙山 和秀, 田辺 美樹子, ...
    2026 年14 巻1 号 p. 108-112
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    抗CMV抗体ドナー陽性/レシピエント陰性(D+/R-)の血清学的組み合わせの腎移植レシピエントで移植後7年以降の晩期にCMV感染症を発症した2例を経験した。症例1は移植時の年齢が59歳,男性。腎移植後8年目の定期フォローの腹部単純CT検査で回盲部の全周性壁肥厚と周囲脂肪織濃度の上昇,周囲リンパ節腫大を指摘された。下部消化管内視鏡検査で回盲部に腫瘍性病変を認め,病理組織検査で封入体形成と抗CMV抗体免疫染色で染色される巨細胞を認めCMV腸炎と診断した。症例2は移植時の年齢が23歳,男性。腎移植後7年目に発熱,背部痛で受診された。血液検査でAST,ALTの上昇と血中CMV-DNA定量検査の陽性化からCMV肝炎と診断した。2例ともにバルガンシクロビルの内服と免疫抑制剤の調整にて改善した。抗CMV抗体D+/R-の血清学的組み合わせの腎移植レシピエントでは移植後晩期においてもCMV感染症を念頭におくことが必要である。

  • 竹原 知宏, 西田 隼人, 縄野 貴明, 髙井 諭, 福原 宏樹, 市川 一誠, 渡辺 昌文, 土谷 順彦
    2026 年14 巻1 号 p. 113-116
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    28歳男性。生体腎移植の6ヵ月後に発熱,湿性咳嗽が出現し,肺炎の診断で入院となった。SARS-CoV-2抗原,インフルエンザウイルス抗原,尿中肺炎球菌抗原,尿中レジオネラ抗原,肺炎マイコプラズマ抗原検査は陰性で,血中β-Dグルカンの上昇も認めず,セフトリアキソンで加療を開始したが症状は改善しなかった。喀痰培養検査では口腔内常在菌のみ検出され,入院 5日目に再検した肺炎マイコプラズマ抗原検査も陰性であったが,multiplex PCR(mPCR,FilmArray呼吸器パネル 2.1)検査でマイコプラズマ肺炎の診断に至った。抗菌薬をミノサイクリンに変更したところ,症状,炎症反応ともに改善した。抗原検査が2回陰性となり,mPCRで診断したマイコプラズマ肺炎の1例を経験した。原因菌の同定に苦慮する場合mPCRを検討すべきである。

活動報告
奨励研究助成報告
  • ─交換腎移植に対するアンケート調査と多機関共同研究によるバーチャルクロスマッチのシミュレーション─
    伊藤 泰平, 伊藤 美樹, 會田 直弘, 栗原 啓, 寺尾 昭宏, 渡井 至彦, 齋藤 満, 加来 啓三, 石井 大輔, 関口 悟, 米田 ...
    2026 年14 巻1 号 p. 119-132
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル 認証あり

    【目的】本邦における交換腎移植(KEP)の必要性を明らかとする。【方法】KEPに関して,また2012〜2021年で免疫学的な理由による腎移植断念例数についてアンケートを実施した。腎移植断念例が免疫学的リスクを回避し移植が実施可能となるかをバーチャルクロスマッチ(VXM)でシミュレーションした。【結果】アンケートは107施設(回答率:81.7%)から回答を得た。日本においてもKEPが必要かという問いに対し,71施設(66.4%)が必要と回答した。また,過去10年間(2012〜2021年)に「免疫学的」な理由で生体腎移植を断念したのは251組であった。詳細な情報が得られた80組でVXMを実施したところ,ドナー特異的抗体陰性となる組み合わせは,血液型適合では37/80組(46.3%),血液型不適合移植では41/80組(51.3%)であった。【結論】本邦におけるKEPの必要性,有用性の可能性が示された。

謝辞
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