日本臨床腎移植学会雑誌
Online ISSN : 2760-1714
Print ISSN : 2187-9907
総説
抗体関連型拒絶反応
─その診断と治療の Up to Date ─
石田 英樹
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ジャーナル 認証あり

2025 年 13 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

抗HLA抗体が関与する拒絶反応は,急性細胞性拒絶反応とは異なり移植腎喪失という悲劇的な結末の可能性を常に伴うハイリスクな病態である。移植腎生検において傍毛細血管領域へのびまん性のC4dの沈着,尿細管炎および糸球体炎などが観察され,患者の血清中には抗ドナー抗体が検出される。治療戦略としては,抗HLA抗体の除去および抗体産生の抑制である。現時点での具体的な選択肢としては,血漿交換療法(血液吸着),タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチル,大量ガンマグロブリン療法,抗CD20抗体(リツキシマブ)および脾臓摘出などがあり,施設間によってこれらの組み合わせや投与量は異なるものの,クロスマッチ陽性患者を陰性化(脱感作)させ,移植に導くことに成功している。また新たに2024年9月には抗体関連型拒絶反応に対する大量ガンマグロブリン療法が保険収載された。この稿では主に抗体が関連する移植腎の拒絶反応ならびに治療法の現況について述べてみたい。

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