2025 年 13 巻 2 号 p. 161-164
症例は61歳女性。41歳時に左腎盂癌で左腎尿管全摘,43歳時に右腎盂癌,膀胱癌で右腎盂部分切除,膀胱全摘,右尿管皮膚瘻造設,46歳時に右腎盂癌再発にて右腎尿管全摘施行され,全尿路全摘の状態となり血液透析を導入された。今回くも膜下出血後の61歳男性をドナーとする脳死下献腎移植レシピエントとなり,当院にて献腎移植術を施行した。右側は尿管皮膚瘻造設,摘出術後であったため,移植部位は左側を選択した。膀胱全摘時に両側内外腸骨リンパ節郭清を施行されており癒着が著明であったため,移植腎を上下反転させて置き,腎動静脈を左総腸骨動静脈に吻合し,左上腹部に尿管皮膚瘻ストマを作成した。術当日より利尿が得られ血液透析を離脱,術後25日目に退院となった。全尿路全摘術後の患者に腎移植が行われることはまれであるが今後も同様の症例を経験する可能性はあり,移植部位,尿路変向の方法など事前に十分に検討して臨むべきであると考えられる。