2026 年 14 巻 1 号 p. 69-74
移行期医療は,患児が将来,一人で生きていくためのステップであり,腎移植医療においても克服すべき重要な課題の1つである。とくに思春期の腎移植患児は,移植腎喪失につながる服薬ノンアドヒアランスを生じやすく,潜在的に存在する知的障害や家庭環境も服薬アドヒアランスに影響する。また,小児腎移植患児では,不登校や家庭環境の影響でコミュニケーション能力の低下を招き,社会的アウトカムが低下している可能性がある。これらを踏まえ,腎移植の移行期医療では,服薬ノンアドヒアランスの防止と社会的アウトカムの改善を念頭に置いて対処する必要がある。医療者側の問題として,移行先の成人診療科医師が小児患者の扱いに不慣れな場合は,しばらく小児科の診察も並行して行うことをお勧めする。小児腎移植患児の移行期医療においては,多職種がかかわる移行プログラムを含むシステムを構築することが望まれる。