日本臨床腎移植学会雑誌
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Print ISSN : 2187-9907
症例報告
生体腎移植術後4年に左総腸骨静脈血栓症を発症した1例
芳賀 泉中村 篤司神保 琢也戸子台 和哲柏舘 敏明佐々木 茂高山 哲郎天田 憲利
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ジャーナル 認証あり

2014 年 2 巻 1 号 p. 116-119

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抄録

症例は60歳男性。56歳時に妻をドナーとして左腸骨窩に生体腎移植(原疾患:メサンギウム増殖性糸球体腎炎)を施行した。来院5日前に長距離歩行を行っており,その後の左鼠径部違和感と移植腎の圧痛,尿量減少にて来院した。血清クレアチニン(Cr)1.38mg/dLと上昇し超音波検査および造影CTにて深部静脈血栓症(DVT)の診断となったため,同日血管造影を施行した。左総腸骨静脈高度狭窄を認め対側への側副血行路を形成していたため,IVCフィルターを留置し外腸骨静脈内カテーテルよりUrokinase持続投与を開始した。翌日血栓吸引とバルーンによる総腸骨静脈狭窄部の拡張を施行したところ,尿量の増加とともにCr 1.24mg/dLと低下した。しかし,第10病日に再び尿量の減少とCr 2.58mg/dLと上昇したため血管造影を施行したところ,左総腸骨静脈が血栓性閉塞していた。総腸骨静脈狭窄部にステントを留置し血流を確保したところ,尿量は保たれ,Cr 1.30mg/dLと低下安定した。

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© 一般社団法人日本臨床腎移植学会
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